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【大賞受賞作】私を殺したのは、大魔法使い様ですか?~あなたがくれた幸せの呪い~  作者: 花澄そう


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魔法会1


今日は、年に一度開かれる魔法会の日。


そして――

待ちに待った、《《魔書資料室に入れる》》日だ!!



ちなみに魔法会とは、進級試験前にこの1年間の努力を競技形式で披露するイベントで、前世で言う『運動会』のような存在だ。


運動会と何が違うのかと言うと、当たり前だけど競うのは『運動力』ではなく『魔法力』。


そして後は、競う相手の歳が5歳くらいから80代までという、年齢層が本当にバラバラだという事だろう。

幼児と老人が同じステージで競う姿は、未だになんとも言えないような不思議な光景だ。

しかも、幼児が老人に勝つことがあるから、意外と見ていても面白い。



魔力は練習すればするほど精度が上がるし、コントロールも上手くなる。

微々《びび》たるものだけど、使えば使う程に魔力量も上がって行く。


なのにどうして魔法を覚えたての幼児が何十年も練習をしている老人に勝てるのかと言うと、クラス別に配られる、この腕に付いているハンデバンドと呼ばれるバンドのお蔭だ。



このハンデバンドは、クラス毎の魔力差を同じくらいにする効果がある。

長年のクラス別平均魔力量の統計データを元に、上手く調節しているらしい。


なのに10歳以下が多い、Fクラスより下が優勝する事はあまり無い。

やっぱり魔力だけを同じ位にしたとしても、どうしても経験値の少なさが不利になるらしい。

だから私は、優勝を経験した事がない。



「頑張って~!」

声援が聞こえて目を向ける。

すると甲子園球場よりも広いグランドの真ん中に、女子達の背中の壁が見えた。



今年は例年よりも盛り上がっている。特に女子が。


それは、また一段と大人っぽく色気を増したローレンと、アランがいるからかもしれない。


あと、《《ついで》》にディオンも……



カミヅキ・ディオン、サオトメ・ロレンツォ、ジョウガサキ・アラン。

この三人で『学園の三大イケメン』と呼ばれているらしい。


初めて聞いた時は鳥肌が立ったわ!

なんでそんな所にディオンが入っちゃってるの!?って。


ローレンについては理解しか無い。

アランについても100歩譲って分かるとして……ディオンは本当に顔だけなのに!!


ああ、そうか『イケメン』だから顔だけでいいのか……

でもなんだかなぁ……




その時、ひざ上で寝ていたラブの鼻の頭に黄色のチョウチョがヒラリと止まった。


するとラブの目がパチっと開く。

チョウチョは、すぐ後ろにある花壇に飛んでいくと、ラブは猫のように私の上から飛び降りてチョウチョを追いかけ始めた。


その姿にほんの少し癒しを貰った時、地響きがしそうなくらいの歓声が私の耳に飛び込んで来た。


「キャー!サオトメ様ーー!!」

「アランー!頑張ってー!」


パッと空に大きなモニター画面が現れる。

その画面には、向かい合うように立つよく知る人物が映っていた。


「ローレンと、アラン……」

なるほど。だからあんなに人だかりが……



アラン目線――


はー。こんなに女の子がいんのに、どこにもシエルちゃんおらんねんけど。


同じクラスやのに応援してくれへんのんかいな。

あの時の告白のせいなんやろうか。


あの日から、どこか素っ気ない気もするし。

絶対失敗したんやろうなぁ。言うの、早すぎたんかもしれん。


それに、告白するんやったら教室じゃなくて、もっと女の子がキュンとくる場所にしたらよかったわ。

って……そんなのがこの学園内にあるのかまだ知らんけど。


シエルちゃんが余りにも可愛くて、つい言っちゃったんよなぁ……

まぁ、可愛いのはいつもやねんけど。ホンマ可愛い。めっちゃ可愛い。

成分は『可愛い』で出来てるんちゃうかと、よく思う。




「よそ見ばかりしないほうがいいんじゃない?そろそろ始まるよ?」

その声に、透明の魔法壁の向こう側にいる女子達から、向かい側に立つ鎧を着た少年に目を移した。


「ああ。ありがとう」

まだ顔部分が開いたままのかぶとを付けている対戦相手は、女みたいに綺麗な男。


戦う相手として、えらい気が引けるな。

クラスは上らしいけど、めっちゃ弱そうや。

どうせなら、こんな線の細い女みたいな奴じゃなく、ゴリラみたいな奴の方が遠慮なく行けそうで良かったなぁ。


魔防具のよろいを着るルールが無かったら、どこを打っていいんか分からんかったくらいや。



「キャー!サオトメ様!カッコイイー!」

「サオトメ様頑張って~~!!」

横から甲高い声援が耳に飛び込んで来る。


さっきから凄いな。

それにしても、なんやねん。

サオトメ()って……(汗)。


でも……

そのサオトメ様とやらから、ずっと敵意むき出しでめちゃくちゃ睨まれてる気がすんねんけど。気のせいか?


「それでは魔法会の第二回戦、魔法剣術対決を開始します」

審判役が青く晴れ渡る空に向けて手を上げると、相手も自分も頭上にある兜のカバーを口元までスライドさせて視野を狭めた。


「よーい、始め!」

その声と共に、少し前から何度も練習してきた魔法の剣を出す魔法を使おうと、手の先に意識を集中させる。

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