どうして私たちの子供ばかり6
「私も行きたい!!お外出たいよ!!」
「え!?ど、どうしたの!?」
「ずっと家の中だけだとつまんない!」
「なになに?珍しいわねそんなワガママ言うなんて。いつもみたいにちゃんとお利口さんでお留守番してて。すぐに帰って来るから」
そう言って頭にポンと手を乗せたお母さんの手を、すかさず捕まえる。
「いや!私もいく!」
「えっ!?ごめんね。夕飯の時間もあるから、もうママ行くね」
「やだ!」
そう言っているのに、私の手を離して玄関に向かうお母さん。
こうしている間に、奴は私の事なんてとっくに忘れて、何もなかったかのように豪遊でもしているのかもしれない。
それか、悪行に悪行を重ねているのかも……
そんなの絶対に許せる事じゃない!
「シエルの好きなプリン買って帰るから、いい子でお留守番してて」
「なんで!?なんでママは家から出れるのに私は駄目なの?!」
「前にも言ったでしょ?外は危ないの!」
「お守りがあるじゃん!」
その言葉に目を大きくするお母さんは、眉をひそめて目を逸らした。
「そ……そうだけど……」
歯切れの悪い返事が返ってきたと思うと、お母さんの視線がゆっくりと私に戻ってきた。
そしてため息をついてその場でしゃがみ、私と目線の高さを合わせた。
お母さんは、戸惑いの目を緩めたと思うと、私の頭に手を向ける。
自分の体が微かに硬直するのを感じた時、ふわっと頭頂部を撫でられる感覚が走り、固まった筋肉が緩んでいくのが分かった。
「そうだよね。もう、5歳だもんね。……今日、パパが帰って来たら、一度ちゃんとお話ししようか。どうしてそのお守りを肌身離さずつける必要があるのか…………どうして外が危ないのか」
「……うん」
そんなの、聞かなくても知ってるよ。
究極の過保護で、変な神様を崇めてるんでしょ?
「とりあえず、本当に夜ご飯の材料がないからパパッと買い物に行ってくるわね」
そう言って、お母さんは私を置いて出ていった。
お母さんの足音が、だんだんと遠くなっていくのがドア越しでも聞こえた。
次の瞬間、私は天井に向かって叫んだ。
「あーー!!もーう怒った!」
私が絶対に届かない高さに付けられている2つの鍵を睨み上げ、口をパンパンに膨らませた私はリビングダイニングに向かった。
「普通、5歳の子供を1人でお留守番させる方が危ないでしょ!」
そしてリビングダイニングのお父さんの椅子に手をかけ、引きずり玄関に移動させる。
玄関のドア側に椅子の背もたれがピタリとくっつくように置いてから、私は「よいしょっ」と言いながらよじ登った。
「今までいい子で留守番していたけど、鍵なんて頭を使ったらすぐに開けれるだからね!」
椅子の上に立った私は、下側の鍵に手を伸ばし、すぐに鍵を開けた。
でも上側の鍵は、椅子に乗った状態でつま先立ちをしても、ギリギリ指先が触れるか触れないかくらいの高さで、上手く開けれない。
「くっ……」
鍵を爪先でひっかくようにしても、力が足りず、上手く回せない。
「む、無理かも……」
椅子の上にさらに何か乗せる?それともジャンプする?
お母さんがいなくなる時間は、いつも20分くらい。
試しに出れるか試すにしても、時間はあまり無い。
どうしようかと悩んでいた時、突然不思議な事が起こった。
それは、指先が触れてる程度だった鍵が急にひとりでにグルリと回り、ドアが開いてしまったという事だ。
「えっ……!?」
初めて小説家に初めてなろうに登録、投稿させて頂きました。
超新人で至らない所はありますが。「面白い!」「続き読みたいな!」と思ってもらえたら、ブックマークや5つ星評価をいただけると、とても嬉しいです(*´-`*)
モチベーションが、ぐんと上がります( *ˊᵕˋ*)
ぜひよろしくお願いします!