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【大賞受賞作】私を殺したのは、大魔法使い様ですか?~あなたがくれた幸せの呪い~  作者: 花澄そう


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転校生7


ローレンは座るなり、とても低い声で聞いてくる。

「あれが今日転校してきたという転校生?」


「……はい。そうですけど、どうしたんですか?」

私の言葉に何も返して来ない代わりにため息をつかれる。

なんだか今のローレンは、まるで別人のようだ。


チラっとメイを見るとメイも驚いた顔をしている。


「ローレン、何かあったんですか?」

そう聞くと悩まし気にひたいに手を当てた。

もしかして、体調が悪いのかな。


「頭痛いんですか?なんか顔色良くないですし、私でよかったら一緒に保健室に……」

「大丈夫だよ。そういうのじゃないんだ」

「そうなんですか……。じゃあ、どうしたんですか?」

こんなローレン、友人として凄く心配になる。



「やっぱり保健室行きしょう。一回診てもら……」

「いいから!!」


強く言われた事に驚き固まると、ローレンが独り言のように小さく呟いた。


「……あいつ、僕のシエ……んに……」



直後、突然我に返ったような目をしてバッと自分の口を塞ぐローレン。私は頭の上にハテナマークを浮かべる。


「えっ……なんて……?」

今、僕のシエルちゃんにって……聞こえたような……

いや、そんな訳ないよね。酷い聞き間違いだわ。


「……ご、ごめん!もう行くよ」

座ったばかりの席から慌てて立ち上がるローレンを驚き見上げる。


「え?もう?」



さっき行くと言ったローレンは「あっ……」と言うと、思い出したような顔をして私の後ろに回った。


「ごめん、これだけはさせて」

ローレンは私の肩にすっと手かざして来た。


「これって?」

すると、その手からポウっと白い光が見えて頭の上にハテナマークが浮かぶ。


祈願きがん?的なもの、かな」

「祈願?」


動いていいのか分からなくてジッとしていると、目の端で光が消えたのが分かった。


すると今度は頭上でふわりと優しい光が舞っているのが自分の前髪の隙間から見えた。


意味も分からずにされるがままの私は、「よく分からないんですけど、体調悪そうですし、魔法は使わないほうがいいんじゃないですか?」と言う。


するとローレンは、「僕は大丈夫だよ。それに、こうしないと余計に悪くなりそうだから……」と謎めいた言葉を落とし、光が消えると同時にこの場から立ち去って行った。




するとメイに言われる。

「やっぱあんた、すっごくサオトメ様に愛されてるわねー。本当に羨ましい限りだわ」


「またメイはそんな事言う!本当に止めてよ!そんな訳ないって言ってるじゃん!」

口を尖らせると、隣のルイーゼが「鈍感って罪ですね」と独り言のように呟いて食後のオレンジジュースを飲み干した。




…………


……


「昼休みの後、移動教室やっけ?」

振り返り聞いてくるのは前の席のアラン。


今日もゴツいアクセサリーのオンパレードだ。

これが私物じゃなく、学園内のお店で売られているというから、ある意味驚きだ。


「そうですよ」

「俺、午後は管理事務局行かなアカンから、講師に伝えといてくれる?はよ終わったら途中参加するかも」

「そうなんですか?次、アランが楽しにみしていた特別講師の授業なのに」

「えぇ!?ホンマかい!めっ~ちゃ楽しみにしてたのに!」

全身で悔しさを表現するアランに、どこか可愛さを感じてしまう。


「でも、なんで管理事務局に?」

「なんか、覚醒後は魔力が不安定になる事があるらしくて、やから魔力の状態を定期的に見せなアカンらしいわ……って、また敬語使ってるやん!敬語は無しでって言ってるのに、いつになったら止めてくれるんや」


「でも……」

「敬語使われると、分厚い壁があるみたいで悲しくなるやん」

悲しげな表情で両手を使って分厚い壁を表現するアラン。


「わ……分かった。敬語は止める」

そう言うと、アランは子供みたいに笑った。


チャラいし、女慣れも凄いし、距離感だっておかしいし……なのに凄いイケメンで、甘え上手な年上。

悪い人じゃないんだけどなぁ……なんか……


その時、突然アランが何かに気付いたように「ん?」と言う。

「何?」

「なんや、この肩と頭にあるやつ」

アランは私の肩と頭を交互に指を差してくる。


「え?何か付いてる?」

言われるままに肩を見たけど、何も付いているようには見えない。



まさか――虫!?


「何か付いてるの!?乗ってるの!?」

そういえば、さっきまでラブがここに乗ってた。

まさかドングリの中に……っ!?


「ん~、でも乗ってるより付いてるっていうか……なんやろ?まさかコレって……」

そう言って眉をしかめるから、さらに恐怖が増す。


「早く取って。怖い……」

あまりの恐怖に泣きそうになって机に乗り出すと、「しゃーないな~」とアランが肩に手を伸ばしてきた。


その時――

耳元でバチっ!と大きな音が鳴った。


「うわっ!」

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