魔力の覚醒2
芽が出た事に驚いて手をかざしたまま固まっていると、その芽は双葉になり、さらには四葉になる。
「えっ、えっ!?」
茎は空に向かってどんどん伸び、前後左右に次々と枝分かれしていく。
その先には小さな丸い蕾がいくつも現れた。
「シエルお姉ちゃんが蕾まで出してるよ!凄い!みんな見てみて!!」
背後から大きな声が上がる。
その時――
ポンッと音がしたかのように、鮮やかなピンクの花がひとつ咲いた。
直後、他の蕾も次々と開き、一斉に可愛い花が咲く。
その光景に、思わず目を見開いてしまった。
「ええええぇぇ~~~~!!」
今まで芽を出すことすらできなかった私が、花まで咲かせてしまったなんて!
「す……凄い!シエルお姉ちゃんどうしたの!?今までと全然違う!」
「うわぁ……花が咲いてる……初めて見た」
興奮するクラスメイトたちの声が聞こえる中、講師までもが驚きの表情を浮かべる。
講師は、眼鏡をズリ落としたまま、興奮気味に問いかけてくる。
「……タ……タチバナさん!?その魔力、一体どうしたんですか!?」
「ど、どうしたんでしょうか……?」
私も、何が起きてるのかサッパリ……
講師は突然ハッとした顔をして口を開けた。
「まさか……これって、魔力の覚醒なんじゃない!?」
「えっ!?魔力の覚醒……?わ、私が!?」
自分の顔を指さして目を大きくする。
『魔力の覚醒』とは、微量だったり普通程度の魔力しか持っていなかった人間が、突然膨大な魔力を持つようになる現象のこと。
その急激な変化に抑えきれないほどの魔力が暴発し、『魔力の暴走』に繋がることも多いらしい。
これは、一般的な魔力感知年齢(3~5歳)以外で魔力が現れるケースと同じ位に、非常に珍しい現象だとか。
ちなみに、どちらのケースも、、漏れなく世界でもトップクラスの魔力を持つことになり、大魔法使いになれる可能性を秘めていると言われている。
でも、それが私だなんて……
今まで散々『最弱』って言われてきたんだ。さすがにそんな訳ないに決まってる。
その後、急遽小テストは中断になり、Fクラス講師に連れられて久しぶりに管理事務所に足を踏み入れた。
そこで受けさせられた魔力量検査の結果は――
『おそらく魔力が覚醒したのだろう』という診断に至った。
おそらくって、何?




