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召喚6
「……その……」
シエルは眉を寄せ、視線をあちこちに動かして落ち着きがない。
「言いたい事あるならさっさと言え」
やっぱり調子が狂う。
普段なら、こんなはっきりしない態度にイラつくだけなのに……
「た、助けてくれて、あ……ありがとう」
たどたどしく感謝の言葉を口にしたシエルに、全身にむずがゆい感覚が走る。
俺は何も言わせていない。
それなのに、嫌々言わされたみたいな顔なのか、照れているのか……
どちらにせよ、その表情に釈然としないものを感じる。
だが、それよりも理解できないのは……
こいつの言葉を聞いた瞬間から、胸の奥で何かがざわつき、心臓が妙に騒ぎ始めたことだ。
この感覚は、一体何なんなんだ。
召喚はここまでです(^^)/




