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殺人鬼と呼ばれる子3

突然、僕の目の前に雑にお皿が置かれた。

そのお皿の中にはゴミのようなものが乗っていて、嫌な予感がして看守を見上げる。


すると、いつも以上に歪んだ笑みが浮かんでいて、僕は思わずゴクリと唾を飲み込んだ。



「ほら、えさだぜ?」



器も汚く、不衛生なのが一瞬で見て取れた。


戸惑っている僕に、総看守は急き立てるように言う。

「早く食えよ」


顔を背けると、髪を掴まれる。

そして無理やりこうべを垂れさせられ、その皿に顔を押し付けられる。


鼻が曲がりそうな匂いに、一瞬で吐き気がした。

完全に腐ってる。


「ほらほら、食え!食えよ!」


…………


……


結局、無理やり得体の知れない物を食わされた僕は、すぐに酷い腹痛に身よじった。


「うっ……」

すると総看守は、脂汗を出して痛みに耐える僕を見ながらケラケラと笑った。


「ゴミを食うなんて汚ねぇやつ……でも、人殺しのお前には、よくお似合いだ」


これは、れっきとした体罰じゃないのか?


「……俺さ、決めたんだよ。お前、もうすぐあの学園を卒業するらしいな」

突然、なんの話を……

「ここだと拷問道具は揃っているが、お前に何かしてもすぐに止められるのが目に見えてる。だから、卒業したらお前を……拉致監禁するって決めたよ」


見開き憎悪に満ちた目に息が詰まった。

ずっと飲み込めずに口の端に隠していたゴミも、そのせいで思わずゴクリと飲み込んでしまう。


「で、俺に殺してほしいと土下座したくなるほどの苦痛を味あわせ続け、その後にこの世から消してやる!そしたら、妻も子供も報われるはずだ!」


そんなの、無理だ。


魔力は辿たどれる。

魔力が多い人間であればあるほど、辿るのは簡単だ。


だから僕を拉致なんてしても、すぐに捕まる。

もしかして、そういう事を知らないんだろうか?



いや……

そんな事、この人にはどうでもいいのかもしれない。


この人は、自分の身がどうなってもいい程に――僕を殺したいんだ。

それ程に恨まれている。


「うっ……」

お腹がギュルルと鳴り、痛みで身をよじる。



「お前が生きてる事を許さない奴が山のようにいるのは知ってるだろ?俺はそいつらの代表となって、お前を痛めつけ、成敗してやるんだよ!」

僕の髪を掴み、髪で持ち上げるようにして僕をひざ立ちさせた。


「今からでも待ち遠しいなぁ~。首を洗って待っておけ……よ!!」

僕は勢いよく腹を膝でりあげられ、体が一瞬浮き上がった。


「うっ……」

すぐに固い床に落ちた僕は、即座にこみ上げてきた吐き気に、食べさせられたゴミのようなものを床に吐き散らかす。


すると、僕の目の前にしゃがみ込んだ総看守は顔を歪めて笑った。


「ここまでされても、お前はひと言も話さねぇな。

こんなに話も出来ない出来損ないの殺人鬼を産み落としたクソ母親は、さっさと自分だけ楽に死にやがって。責任を全うしてから死ねよ!マジで親として終わってんな!」


その言葉に、とてつもない怒りが一瞬にして吹き上がるのを感じた。


「子も子なら親も親だ」


僕は、それ以上(けな)されたくなくて、あざ笑う総看守のあごに頭突きをした。

っ……!」


あごを押さえてフラ付いた総看守は、その場で尻もちをつく。


「てめぇ……よくも!!」

ひたいに青筋を立て、ビリビリとした酷い殺意が漂ってくる。でも、どうでもいい。


「母さんの悪口を言うな!!」


なんで、みんな、僕の両親の悪口を言うんだよ!

……いつも……、いつも……


これも、全部僕のせいなの?



どんなに心から望んでも、一生会うことは出来ない。

見ることも、触れることさえも出来ない。


そんな両親の悪口は……やっぱり悲しくて、悔しくて――許せない!



自分でも驚く程に湧き上がって来るこの怒りの収拾の仕方なんて知らない。


そんな事、教わってないから。




「ハッ、喋れんじゃねぇか!

『母さんの悪口を言うな』だ?その母さんを殺したのは自分のクセに!笑わせんな!」

図星を言われて、ジワりと涙が浮かびそうになる。


「ち……がう……」

あごを押さえたままユラリと立ち上がる総看守は、少し距離を取りながら勢いよく足を飛ばしてきた。


「違わねぇよ!」

「……っ!!」


次の瞬間、僕はあごを蹴りあげられ、言葉にもならない程の痛みと衝撃が脳天を通り抜けた。


頭がグラングランと揺れ、、目も開けられない。


「1000年に一度の魔力の持ち主だともてはやされても、今はただの無力な餓鬼ガキでしかないんだよ!!悔しいだろ!!」

そうあおりながら、再び腹を蹴られる。


重い手枷てかせをジャラリと鳴らし、フラつく頭を押さえながら、僕は総看守に手をかざした。


「はははっ!なーにやってんだ!?魔力を吸収するその特殊な鎖で魔法を使えないのを忘れたのか!?馬鹿で間抜けな所も完全に親譲りだ……な……アッツ!!!!!!うわぁぁぁ――――!!」


総看守の叫び声が耳をつんざく。

ぐにゃぐにゃにゆがんだ視界に映る総看守は、なぜか碧い炎がまとっていた。


「熱い!熱い!!熱い!!」

初めて小説家に初めてなろうに登録、投稿させて頂きました。


超新人で至らない所はありますが。「面白い!」「続き読みたいな!」と思ってもらえたら、ブックマークや5つ星評価をいただけると、とても嬉しいです(*´-`*)

モチベーションが、ぐんと上がります( *ˊᵕˋ*)

ぜひよろしくお願いします!

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