どうして私たちの子供ばかり1
4歳。
普通ならば幼稚園やら保育園やらに行ってる年齢だ。
義務教育はまだだから、どこにも通っていない子も中にはいるだろう。
でも、だとしてもこの年まで一歩も家から出たことが無い子供は、そうそう居ないはずだ。
「はっぴばーすでーとぅーゆー♪はっぴばーすでーとぅーゆー♪」
お父さんが選んだピンクのプリンセスドレスに着替え、頭に4という数字が乗ったティアラを付けた私は、今の状況に酷い不信感を募らせながらロウソクを吹き消した。
拍手されて、今世で初めて嘘の笑顔を作った。
ケーキを食べて、プレゼントを貰って……
喜ぶ両親の顔を見ながらも……
駄目だ……なんか、上手く笑えない。
前世の私は作り笑顔が上手かったのに、甘やかされている間に下手になってしまったのかな。
……ううん、違う。
私は本気で作り笑顔なんて作っていないんだろう。
本当は言いたいことがあるって、両親に気付いて欲しい気持ちが知らず知らずにあらわれているような気がする。
「どうしたの?誕生日なのに元気ないわね。どこかしんどいの?」
そう聞かれて、やっぱり内心喜んでしまった。
でも、いざ聞こうとすると本当に聞いていいのかためらってしまう。
でも多分、きっと話せば分かる。
唇同士をグッと合わせてから口を開く。
「パパ、ママ……あのね……」
だって、今世の両親は私の事をこんなにも愛してくれているんだから。
だから聞いてくれるよね。私のお願い。
「もしかして、好きなプレゼントじゃ無かったかい?」
その言葉にぶんぶんと首を振る。
「ううん。とっても可愛くて嬉しいよ……」
「じゃあ、ケーキが好きじゃなかったのかい?シエルが大好きな苺がいっぱい乗ったケーキにしたんだよ」
その言葉にも首を振る。
「そんなんじゃないの……私……」
しばらく待ってくれていたのに、なかなか言い出せない私に、両親の心配そうな顔が向く。
「ゆっくりで良いのよ。何があったのか教えてくれる?こんな素敵な日にそんな顔してたら、ママもパパもすごく心配だから」
そんな優しい声と、肩に置かれた暖かなお母さんの手に後押しされた気がした。
私は、膝の上にある小さな手をギュッと握って、決心を固めた。
「私……私……」
「うん」
両親からの穏やかな声が落ちてくると、力を入れていた手に、両親の温かな手が添えられ、さらに勇気が沸いた。
「私……いつまでこの部屋だけなの?」
私の言葉を聞いた両親は、笑顔がスッと消えて、見た事の無い顔のまま固まってしまった。
明らかに曇った両親の顔に、心臓が嫌な音を立て始める。
きっと、このまま続けちゃ駄目なんだろう。
そう思ってすぐ『やっぱりなんでもない』と身を引こうとする頭の中の自分を、力の限り押しのけた。
前世の両親の記憶が残っているせいで、親に逆らうことが怖くて言葉が詰まってしまう。
でも、今の私は前世の私じゃない。今世の両親は前とは全然違うんだから。
だから今ここで頑張らないと、この瞬間を思い出して、二度と言えない気がする。
そう思ってもう一度口を開けた。
「私も、パパやママみたいに、お外に出てみたい!私だけお家から出れないのなんておかしいよ!」
振り絞るように訴えた私の言葉に、両親は眉を寄せて顔を見合わせた。
すると、お父さんが予想外の事を口にした。
初めて小説家に初めてなろうに登録、投稿させて頂きました。
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