学園最弱の存在 Fクラス-16歳-5
落下し始める速度も異様に遅く感じる……と思っていたのも束の間、急に真っ逆さまに重心が反転して――
「わ…………あぁぁーーーー!!」
凄い勢いで落下し始めた。
どうしよう、どうしよう。
こんな所で死ぬ訳にはいかないのに!
奴に助けを求める?謝る?
いやっ、でも……それだけは絶対嫌っ!!
死んでも嫌!
でも、本当に死んでしまったら復讐も出来ず、大好きな両親にも会えなくなってしまう。それも絶対嫌っ!!
じゃあ、どうすれば……
あっ!そうだ!
もしかして誰かが落下してる私に気付いて助けてくれたり……いや、その可能性は低い。ここは余り使われてない校舎だし。
こうなったら、もう、一か八かで自分でどうにかするしかない!!
私は即座に、まだ遠い地面に向かってバッと手を広げた。
咄嗟に思いついたのは、風を起こして落下速度を弱めること。
痛みは覚悟のうえだが、最悪死ななければ治癒魔法でなんとかなるかもしれない!と思った直後、その作戦はすぐに失敗だと分かった。
なぜなら――
風を起こせている感触が全くなかったからだ。
さすが学園最弱の私!
スピードは当たり前のように全く落ちていない。
頭上に『死』の文字が浮かび上がる。
つくづく思う。
やっぱり思い通りにはいかないというのが私の人生だって。本当に嫌になる。
でも、どうしても奴に頭を下げるという選択肢を選べない私は、生まれて初めて死ぬ気でありったけの魔力を手の先に込めた。
風よ、起こって……
……お願い……っ!!
すると、次の瞬間――
胸に酷い違和感が走った。
言うならば、何かもやっとしたような圧迫感もあるような、なんとも言えない感覚だ。
その時、胸元で何かが砕けたような音が鼓膜に届いた。
パキ……ッ
驚く事に、その音を聞いた瞬間、足の先から頭のてっぺんまで力がみなぎるような感覚が駆け上がった。
こんな感覚、生まれて初めてだ。
溢れてくる力に、今なら風だけじゃなく竜巻でも起こせるんじゃないかと錯覚してしまいそうだ。
ふと、手に違和感を覚えた。
自分の手に意識を向けると、手の先から風の感覚がハッキリと伝わってきた。
「嘘っ……」
生まれて初めてまともな魔法を使えた事にじっくり感動したい所だけど、今はそんな事している暇なんて無い。
だって地面までの距離は、もう残り僅かしかないんだから。
理由か分からないけど、今、信じられない位の風を起こせている。
そのお陰で落下スピードは確実に遅くなっている。
けど……間に合わない!!
あぁ……
せっかく皆並みの魔法が使えるようになったのに……
もう、駄目だ……っ!!
地面にぶつかる直前に、自分の手を握りしめ、祈るような体勢になって強く目をつむった。
次の瞬間――
ふわりと浮くような浮遊感を感じた。
まるで羽でも生えたかのような感覚に、恐る恐る目を開ける。
すると、なぜか焦点が合わないほど近くに地面が映り込んだ。
「……え?」
驚いた私は、ゆっくりと顎を引く。
すると、私の瞳に、上下逆さまの白銀髪の男が映り込む。
私は、なぜか地面スレスレの所で浮いているようだった。
……なんで?
「なんだ、今の……」
眉を寄せたこの男は、腹ただしい程に私を見下ろして続けた。
「お前のその魔力は……、一体なんだ?」
「……私の、魔力?」
学園始まって以来の最弱の魔力だけど……。何か?
学園最弱の存在 Fクラス-16歳-はここまでです(^^)/
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