表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

34/248

学園最弱の存在 Fクラス-16歳-3


私の言葉に、奴は片眉を釣り上げる。


「は?卒業?」


卒業したんじゃない?

でもそうか。卒業してたら今ここに居ないもんね。


2年もの間、私はずっとこいつに警戒しながら生活していた。

上級クラス棟や男子寮の近くを通る時なんかは特に。

でも、1度も目にする事はなかったのに……どうして……



ええい!もう、なんだっていい!

理由は分からないけど、この男はまだ学園にいたんだ。


なら、私が取る行動は1つしか無い!


それは――こいつと出来るだけ接点を持たないことだ!



「な……なんでもない」



触らぬ神にたたりなし!

いや、神じゃなくて悪魔の間違いだったわ。



そんな事を考えながらきびすを返すと、ふと手が小刻みに震えている事に気付いた。両手を重ねてみる。指先が冷たい。


奴のせい?

……いや、違う。きっと女の人に手を上げられたせいだ。


前世の記憶のせいで、未だに女の人に手を上げられるのは全然駄目みたいだ。

こんなんで復讐なんて出来るのかな?犯人は女なのに。


心の中でため息をついて足を一歩前に出すと、「どこ行くんだよ」と、引き留められる。



私は、迷いながらも背を向けたまま足を止めた。


一瞬、無視してこの場から消えてやろうかと考えたけど、相手は瞬間移動の出来るサイコパス的思考の人間だ。

追いかけられたら逃げ切れるわけがない。


仕方なく、顔だけを振り返る。

「どこって……次の教室に行くの。さっきチャイムが鳴ったから」

「ふぅん……ってお前、その前に言う事あるだろ」


「……えっ?言う事……?」

何のことを言っているのか分からず、頭を巡らせてみる。

でも、何も思いつかずに首を傾げる。


正直、もうどうでもいいから早く行かせてほしい。


「も、もう行くから!」


逃げ出したい気持ちがいっぱいで、再び足を前に出すと、肩をつかまれる感覚が走った。


「おい。逃げんのか」

「ち……違う!急いでるの!」

「それを『逃げる』って言うんだよ」


そう言われた次の瞬間――


「……っ!?」


強い風が肌を打ちつけた。



私の瞳に映り込んだのは、校舎の屋根の斜面の景色。

状況が全く飲み込めず、私は思わず空に向かって叫んだ。


「え、えぇぇーーーー!!!?」


ここは、高さで言うと5、6階くらいに相当するだろう。

斜面はかなり急で、万が一つまずいたりでもしたら、転び落ちて死んでしまうだろう。


「なななな、なんで……っ」

叫びながらすぐ横にあった時計台の壁に抱きつくと、クスクスと笑う声が聞こえた。


「これで逃げれねぇだろ。ってか、ガタガタ震えてんじゃん」

壁にしがみつきながら声のする方に振り返ると、白銀男があぐらをかいて宙に浮いていた。


「……っ!」

浮遊魔法は魔法使いの中でも一部の人しか使えない。

さらに、自分自身を浮かせることができるのは、その中でもほんの一握りだ。


瞬間移動に浮遊魔法、後は人を勝手に動かす能力があるなんて……一体この人は何者!?


「お前って威勢いせいがいいのは最初だけだな。この高さ程度で怖いなんてな」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ