学園最弱の存在 Fクラス-16歳-2
「やめて!」
「あんたが調子に乗ってるからでしょ!」
「じゃあ……教えてよ。あんた達のどこを敬えばいいのか」
「は?」
「だって、敬語は敬う相手に使う言葉でしょ?
ローレンに声をかける勇気もなく、影でコソコソ悪口ばっか言ってるあんた達のどこを敬えばいいのか、教えてよ!」
私の言葉に、目の前の2人はタコのように顔を真っ赤にして震え出す。
「私が給食当番の時のエプロンを破いたの、あなた達でしょ?」
2人の表情がピクリと変わる。
「な、なんのことだよ!?」
その動揺を見逃さなかった私は、かまをかける。
「もしかして、ドアの貼り紙の絵のモデルは、あなた達だったのかしら?」
その言葉に、髪の長い方がカッとなって叫んだ。
「お前に決まってんだろ!このクソビッチが!」
「駄目だって!」
慌てて髪の短い方が彼女を止める。
「……あっ!」
自分の失言に気付いた髪の長い方が、あからさまに焦った表情を浮かべた。
どうやら、ビンゴらしい。
この反応、たまたま通りがかって見た人の反応じゃない。なのに、白を切るつもりだった。
「やっぱり、あの絵もあなた達だったのね」
にこっと笑ってそう言うと、ギリッと歯を食いしばりながら、私を睨み返してきた。
「うるせぇ!黙れよ!魔力もろくにないくせに!身の程を知れ!」
苛立ちを隠せない様子で怒鳴る髪の長い方は、突然空に向かって手を振り上げた。
その瞬間、前世の記憶が鮮明に蘇る。
親に叩かれた時の光景がフラッシュバックし、体が反射的に縮こまった。
その時――
「何やってんだ」
低く冷たい声が耳を打った。
ゆっくりと目を開けると、視界に飛び込んできたのは、揺れる白銀の髪。
「…………えっ」
白く長いまつげに縁取られた輝く碧い瞳を見た瞬間、私は固まってしまった。
目の前に現れたのは、この世で最も会いたくなかった人物。
けれど奴は、私を助けるように、私に手を振り上げようとしていた女の手を掴んでいた。
「おい離せよ!って、きゃあああっ~~!」
女は男を見た途端、さっきまでの威勢が嘘のように消え失せた。
頬だけでなく耳まで真っ赤に染め、高い声を出す。
そして、掴まれている自分の手を見て、「はぅ……」と変な声を漏らす。
その時、学園内にチャイムが鳴り、渡り廊下にもその音が反響した。
2人組は、「つ、次からは気を付けてよ!」と捨て台詞を残し、さっきとは別人のように頬を赤らめながら、何度も奴を振り返って上級クラスの建物へと去って行った。
「なんだ、あいつらは」
目の前の奴はポツリと呟く。
不思議な気持ちで2人を見届けたあと、奴を見ると、鋭いナイフのような目が私を捉えていてギクリとした。
「久しぶりだな。クソガキ」
またその呼び方……
クソガキじゃないし。
っというか、そんな事より……
「なんでいるの?……卒業、したんじゃないの?」
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