時を超えた狂愛の檻2
真相を確かめるべく、俺は大急ぎで学園に戻った。
最速で移動してNIHONに戻って来た時には日付が変わり、朝日が昇っていた。
時計塔の針を見ると、ちょうど授業が始まった時間で、俺は真っ先にシエルのいるSクラスの教室に向かった。
でも、いつもの教室にはなぜか誰もいない。
隣の教室を覗いても、グランドを見ても、特別教室を回っても、人の姿はない。
「下級棟には生徒や講師がいるのに……体どうして……」
顎に手を当てながら、図書館の屋根の上に降り立つと、グランドの上空に大きな輪っかが現れた。
「なんだ?あれは……」
移動系の魔法?
そう思った瞬間、グランドの中心に突然、大勢の人々が現れた。
驚きながらよく見ると、現れたのはそのほとんどが生徒で、何故か多くの者が怪我をしていた。
生徒たちに急いで回復魔法をかける同級生や、グランドの端で待機していたかのような講師や看護師たちが、次々と駆け付け、場は一気に混乱に包まれた。
数年講師をしていたが、今みたいな状況を見るのは初めてで、全く理解出来ないまま、俺はグランドに足を降ろした。
すると、俺を見つけたほぼ話したこともないBクラスの講師が、息を切らしながら駆け寄ってきた。
「カミヅキ講師!よかった!今、生徒たちが戦争から帰ってきたとこなんです!思ったより被害が大きくて……回復を手伝ってください!」
「……は?戦争?」
眉を寄せて再び倒れている生徒たちに目を向けると――
その怪我人の山から、まったく血色のないシエルが目に飛び込んできた。
瞬間、時間が止まったように感じた。
「……シ……シエル?」




