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Fクラス-14歳-5


…………


……


懐中電灯で前を照らす先には、『魔書資料室』と書かれたプレートが掲げられた重厚なドア。


「い、いきなり……見つけてしまった……」


明かりを少し下にズラすと、赤文字で『許可のない者の立ち入りは固く禁止する』と書かれている。


絶対ここだ!!

でも……こんなに簡単に見つかるなんて、逆に怪しいような……

厳重な警備とは?もしかして、これは罠?




昼間、学園中の建物を歩き回って地下へ続く階段を探したけど、見つけられなかった。

もしかしたら、生徒がいない時間帯になれば現れる隠された通路があるんじゃないか。そんなファンタジー的な発想で、夕食の時間を狙って再び探しに来た。


すると――まさかの予想は的中。


昼間には絶対無かった、下へと続く階段を講師室のある棟で見つけた。

その階段を降りた先はここだった、という話なんだけど……



とりあえずこれが本物だとして、ここからどうしたらいんだろう?

まさか、こんなに簡単に見つかるなんて思ってもいなくて、見つけた後どうするかなんて全く考えて来てなかった。


このドアの取っ手って……触っても大丈夫なのかな?鍵穴も無いという事は開いている?

そう思いながら、取っ手にピンと張った人差し指を向ける。


うっ……

なんとなくだけど、すっごく嫌な予感がする。

触ったら、学園の塀を超えようとした時みたいに警報が鳴る?

そんな考えが過って、すっと手を離す。



場所は分かった。

でも、一度出直すとしても、どうすればいい?

このドアを、開けるか開けないかの二択しかないじゃない。



このドアの向こうに、知りたい答えが書かれた本があるかもしれない。

何を躊躇ってるの?

最悪、警報が鳴れば、前みたいに逃げればいいだけ。

何も起きなければ、知りたい情報が手に入るかもしれない。


だったら、開けない選択肢なんてない。


そう自分に言い聞かせて、私は再び取っ手に指を伸ばした、その時――



「おい!そこで何をしている!」

突然、背後から声を掛けられて飛び跳ねた。


すぐに『しまった』と言う文字が頭に浮かぶ。



勢いよく振り返ると、階段の近くに警備員の服を着ている男性が立っていて、頭の中が真っ白になった。


「あっ……え……」


足元から頭の先までジロジロと見てくる警備員は「君、クラスと名前は?」と質問を投げかけながら近付いて来る。


「ワ、ワタシ、ミチニマヨッテ…………」

前もって用意しておいた苦しい言い訳を、抑揚よくようゼロで口にする。

当然、警備員の視線はさらに怪しげなものに変わる。



その時、咄嗟とっさにパンと手を叩いて階段を指さした。


「あっ!あそこに階段があった!私、教室に忘れ物を取りに行きたかったんです!なのによく分からない所に来ちゃってどうしようかと思ってったんです!では急いでいるのでサヨウナラ!」

息をつく暇もなく早口で言い切ると、大慌てで警備員の横をすり抜け、階段を駆け上がる。


「え、ちょ……」

警備員が何か言いかけた声が背後で聞こえたけど、私は全速力で逃げた。


…………


……



無事に部屋に戻って来た私は、ベッドにバタンと仰向けで倒れこむ。


「危なかった……」


胸に手を当てて、さっきの出来事を頭の中で整理する。


でも、収穫はあった。


場所はハッキリと分かったし、夜になると現れる階段が警備員の巡回コースに入っていることも分かった。


だから、今度は躊躇ためらわずに扉を開けて、即座に中へ入ってしまおう!


「よし!」

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