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【大賞受賞作】私を殺したのは、大魔法使い様ですか?~あなたがくれた幸せの呪い~  作者: 花澄そう


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252/283

招かざる訪問者5


…………


……


私は、学園に戻って来てから両親に毎日手紙を書いている。

どこまでの内容なら両親に届くのかが分からないから、色々な書き方で試しているところだ。


魔力が暴走した事や、戦地から帰ってきたこと。


そして――

国から戦功章せんこうしょうとしてきんの表彰板をもらった事など。



筆をる私に、手紙の横でちょこんと座るラブのつぶらな瞳が向く。

「どうしたの?ラブ」

そう言って指で頭を撫でる。



ずっと心配だったラブは、元気だった。


戦中に預かってくれていたクリフおじさんの話では、ほんの数時間だけ体調が悪かったようだけど、それ以外は元気だったそうだ。


きっと体調が悪かったのは、私が――

()()()()()した時の影響だと思う。



戦地から帰ってきた私の髪は真っ白で、そのせいで沢山の人に驚かれた。

そしてすぐに、()()()()()だと診断された。


また管理事務員の誤診ごしんだと思ったけど、その話をこの前ディオンにしたらこう言った。



『今回ばかりは、誤診なんかじゃない』

『……へ?』

『あの時のは……、本物の魔力の覚醒だ』

『う……嘘っ』

『元々学園でトップクラスの魔力を持っているのに、そこからの覚醒なんて通常はあり得ないが、長年魔道具で抑え込まれていた膨大な魔力が原因で、通常ではありえない現象が起きてしまったんじゃねぇかと思う。魔法は、なんだかんだ言ってまだまだ未知だらけだしな』


信じられないけど、私は()()()()()()()()()()()になってしまったようだ。



「よし、出来た」

大好きなパパとママへ、と書いた手紙に封をする。


すると、背中側からノック音が聞こた。


「シエルー。そろそろ戦勝パーティに行くよー」

その声はメイのものだった。


「うん」




…………


……


重い会場のドアをメイと共に開けると、賑やかな音楽が耳に飛び込んできた。

高級そうな料理や、いつも以上に華やかな会場の飾りつけが目に入り、1週間前に戦地にいたなんて嘘みたいな光景に、呆気あっけにとられる。



戦勝パーティ会場を見回したけど、下級クラスの生徒はいなかった。

当然だ。下級生であるルイーゼ達は、私たちが特別野外活動に行っていたと思っているのだから。


ちなみに私を襲った男子達は、指揮官から学園に報告され、帰還するなり塔に入れられた。だから今は不在だ。




「カミヅキ様ぁ~」

そんな台詞セリフが耳に入ってきて、自然と目が行く。


すると大きく胸の開いた、タイトな黒のロングドレスを着たFクラス講師が映った。そして、その隣にはディオン。


ディオンは品のある黒のスーツを着ていて、長い黒髪を後ろで束ねている。既に周りは女生徒だらけだ。


Fクラス講師は、大きな胸を見せつけるようにしてディオンに迫っているのに、ディオンは嫌がる様子も見せずに何やら話をしている。

そんな2人がとてもお似合いに見えて、思わずムッとしてしまう。


すると、ディオンとバチっと目が合って、思わずそっぽを向いてしまった。





再び目を向けると、もうディオンは女生徒の方を向いていた。

その事に更に怒りが湧く。



キスまでしてきたくせに!なんなのよ!

ふと、これまでのキスを思い出してしまい、顔にぼっと火がついた。


あああーー!

恥ずかしくなって脳内の私が頭を抱えて叫ぶと、次に私を殺した奴の言葉が浮かび上がってくる。


『あれぇ?まだ生きてんの』

『早く死んで』



……まただ。

最近、殺される直前の事ばかり思い出してしまう。




それもこれも……


長く艶のある黒いディオンの髪に目を向ける。

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