俺は、お前が……14
雨は次第に豪雨になり、地面に雨がたたきつけ始めた。
なのに、ヴァイスだけは雨に濡れていない。
「儚い命を必死で守る姿って、滑稽で美しいと思わないか?みな必死に守っているその命は、僕のこの指先一つでいとも簡単に摘んでしまえるのに」
ヴァイスはすっと自分の綺麗な人差し指を見せたあと、独り言のように続けた。
「良い暇つぶしにはなるけど、でも、誤って女性を殺してしまうのは結構胸が痛いんだよね。まぁ遠くて殺した実感がないから、結局いつも殺っちゃってるけどね」
ヴァイスの言葉に、瀕死になって倒れていたメイや、アラン、ローレン、クラスメイトの顔が浮かんでくる。
「……と思っているの……」
怒りに全身が震えてくる。
私達は、必死に生きているのに、そんな、ただ面白いだとか暇つぶしという理由だけで……
「ん?なんだい?」
「私たちの命を、何だと思っているの!!」
「何って……僕の遊び道具だよ?」
「……ゆ、るさない……」
その瞬間、体が燃えるように熱くなった。
「絶対、あなただけは許さない!!」
あのネックレスを外した時のような、爆発しそうな魔力が、指の先まで溢れ出すのを感じた。
真っ白に輝く髪がふわりと舞い上がり、辺り一帯に光が浮き上がる。
「おおっ……」
ヴァイスはそんな私の様子を見ると、惚れ惚れとした表情に変わった。
「なんて魔力…………欲しい……」
こちらに伸びてくるヴァイスの手が目に映った途端、私は拒否するようにヴァイスに手をかざした。
次の瞬間――
眩しい光手の先から出て、1秒後には、ヴァイスは空高くに飛んでいた。
彼の姿が見えなくなるほど小さくなっているのに、全然怒りが収まらない。
攻撃の手が止まらない。
無我夢中で怒りをぶちまけるように魔力を込め続けた。
すると、次第に意識が朦朧として来て、視界がぼやけ、薄れていく――




