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【大賞受賞作】私を殺したのは、大魔法使い様ですか?~あなたがくれた幸せの呪い~  作者: 花澄そう


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244/283

俺は、お前が……13


慌てて視線を走らせると、球の進行方向で、手をかざして立つシエルが映った。


「……エルッ!」

何やってんだ!!

あんな魔力が枯渇こかつした状態で、あんな攻撃を受け止めれるとでも思ってるのかよ!


俺は、即座に瞬間移動でシエルの前に移動し、攻撃を跳ね返す為に手をかざそうとした。



でも、間に合わない。

そう感じた俺は、とっさにシエルと自分にシールドを張ろうとする――その瞬間……


「がっ……!」

とてつもない衝撃と、猛烈な熱さが全身を襲い、俺はすぐに意識を失った。




シエル目線――


「ディオン!!」

あの攻撃がNIHON陣側に向かっていると分かって瞬間、すぐに体が動いた。


今の私では止められないと分かっていても、メイやアラン、ローレン達の顔が浮かぶと、どうしても何とかしたいと思った。

その一心で手をかざした時――ディオンが私を守るように、目の前に現れた。





「ディオン!!」


そして今、ディオンは私の前で黒く焦げて倒れている。


「なんで!?どうして……」

私は震える手をかざし、ありったけの魔力で治癒魔法をかけた。


「死なせないから!!ディオン……ッ!」



ずっと、雲行きが怪しかった空からは、ぽつぽつと雨が降り始めてくる。


その時、私たちにふわっと影が落ちた。

見上げるより先に、ディオンの横に汚れた白い靴が見えた。

そして、その足は無理やりうつ伏せのディオンを仰向けにした。


「う……」

「やっぱ生きてるんだな。残念だ」

顔を上げると、怪訝けげんな顔をしたヴァイスという男が、私たちを見下ろしていた。


「何するの!!」

私はすぐに風を放ってヴァイスを引き離し、ディオンを庇うように前に立った。


「ふふ。そんなので守れるとでも思ってるのかい?僕ってなめられてるのかな?」

ヴァイスの体から光が溢れ出し、服や体に付いていた汚れが嘘のように消えていく。


「お願い!これ以上は止めて!あなた、ディオンの元友人なんでしょ!?なんでこんな酷い事出来るの!?」


「さっき、君も聞いたでしょ?カミヅキは僕のことを友人だなんて思ってなかったみたいだよ。それに、君も約束守ってくれないし……」

ヴァイスは冷めた目で私たちを見下ろし、口の端をニッと引き上げて続けた。


「なにより……こんなチャンス二度とないだろうからねぇ?」


チャンス……?




「ここでカミヅキを殺したら……、僕は世界で()()の大魔法使いになれるんだよ?そうなれば、このつまらない人生も少しは変わるのかもしれないよね?それに……戦場に居る人達は敵国ならばいくら殺したって合法なんだよ。面白いよね」


ヴァイスは楽しげに笑みを浮かべながら、首をかしげた。

白い髪が、うねることなく肩を超えてさらりと流れていく。


「おもしろ……い……?」


「僕は、20年まえから、ずっとこの日を待っていたんだ。色々横から突いてもなかなか戦争が起こらないからさ、痺れが切れて学園に攻撃を落としたら、それが発端ほったんとなってすぐに戦争に発展したよ。完全に計画通りだった」


「この戦争は……あなたが……起こしたの……?」

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