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【大賞受賞作】私を殺したのは、大魔法使い様ですか?~あなたがくれた幸せの呪い~  作者: 花澄そう


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Fクラス-14歳-1

▼学園の配置図▼

挿絵(By みてみん)

展望台の位置がグランド付近とい感じで固定できずに完結まで書ききってしまいました。

花壇は何か所かありますが、ネモフィラの花畑は右上の方です。


--------------------------


今日は親友のメイと大図書館に来ている。

学園の大図書館はとても広く、様々な分野の本が揃っている。


「……時空の……ゆがみ?めちゃくちゃ難しそうな本だね」

隣にいるメイが、私が手にしている本を覗き込む。


「え、うん」

「でもシエル、昔っからそういう系の本好きだよねぇ」

「うん」

私は手にしていた厚い本をパタンと閉じた。

「よし!最後の1冊はこれに決めた!」


こういった専門用語の多い本は、最初は全然理解できなかった。

けれど、今ではなんとなく分かるようになった。


これも、憎き黒髪の奴への復讐を果たすため、わらにもすがる思いで毎日欠かさず本を読み続けた成果だろう。



前もってキープしていた本の上に厚い本を乗せ、持ち上げる。

「よいしょっと」


「ひぇー、そんなに読むの!?シエルって本当に勉強家だよね。なのにその年で下級クラスだなんて……」

と痛いところをついてくるメイ。


メイとはI(アイ)クラスの時からの友人で、幼馴染おさななじみだ。

だから、いつも遠慮無しに言いたい放題言ってくる。


それがメイのいい所でもあるんだけど、時々メイの発言に辛く感じることもある。


「シエルを見てると、この学園が知識よりも魔力を重視した試験ばかりしているってことが、ありありと分かるよね」



「だよね。魔法学校だから仕方ないんだろうけど……。他の授業は完全にオマケみたいだよね」

私は苦笑いを返しながら「お願いします」と貸出カウンターに本を置く。


目の前の図書委員は「はーい」と少し面倒くさそうな顔をしながら、タワーになっている本を上から順に手に取り、本の状態を確かめ始める。


後ろにいたメイはピョコンと横に並び、さっきの話の続きをする。

「だっよねぇ~。結局魔力が全てなんだろうね」

「ね」

「シエルの魔力、未だにめちゃくちゃ少ないもんね。この前、たまたま移動中にシエルのクラスの授業風景を目にしたけど、みんな拳くらいの火の玉を出しているのに、シエルだけ小指よりも小さい火を出してたし」

「あれ、見てたんだ!でも小指は言いすぎだよ。親指くらいはあったし!」

「親指!変わんないじゃん!」

メイは私の話に愉快に笑った。


メイの魔力は多い方で、私よりも2つ上のDクラス。

ちなみにSからDクラスが上級クラス棟、それ以下が下級クラス棟で建物も分かれている。

だから上級クラスであるメイとは、基本的に放課後でしか会っていない。


「私なんてこの学園に入る必要なんてなかったのに。ほんと、こんな魔力しかないんだから」

「必要性は感じないよね」

「でしょ!」

「だから前に学園長に抗議しに行ったんだよね。あの時のシエルの行動力には感心したわー」





時をさかのぼる事、数か月前――


私の魔力が、魔法学園始まって以来の最弱じゃないかと噂され始めた頃、私は学園長に直談判じかだんぱんするために学園長室のドアを開けた。


すると、学園長は広い机の向こうで書類に目を通していたが、突然の訪問者に気づいて顔を上げた。


「勝手に入ってくるとは、どういうことだ。生徒がドアを入る時にはノックするよう、講師が指導しているはずだが」

鋭い視線が私を貫くように向けられる。けれど、ここで引き下がるわけにはいかない。


私はまっすぐに学園長を見据えた。


「学園長は、私にこう仰いましたよね。新たな犠牲者を生み出さないために、魔力を持つ子供をこの学園で保護し、育成しているって」


「ああ、そうだな」

「と言う事は、逆に言えば、犠牲者が出る可能性が無ければ保護は不要ってことですよね!?」

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