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【大賞受賞作】私を殺したのは、大魔法使い様ですか?~あなたがくれた幸せの呪い~  作者: 花澄そう


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236/283

俺は、お前が……5


奴の名はヴァイス・モルガン。


どうでもいいが、甘いマスクの持ち主だと言われている。

見た目は男か女かも分からないような身なりだが、れっきとした男だ。

年齢は俺より年上だったと思う。



ヴァイスは片膝を立て、鬱陶うっとおしい程に長く白い髪をなびかせた。


どこかの民族衣装なのか、真っ白な布切れが沢山重なったようなワンピースをあらわにする。

まるでエルフのような恰好かっこうに、相変わらず趣味が悪いと思った。



「それはこっちの台詞セリフだよ。久しぶりだね、()()()()


名前を呼ばれた事にハッとしてカメラの位置を確認する。

でもカメラはかなり遠く、ここは死角だと知る。


「なんだ、あれを気にしているのかい?ここは死角だから安心して」

心の中を読まれて、不愉快な気持ちで口を歪める。


「なるほどな。そういう事か。リヴァーヴァルがあの後も勢力を保ち続けたのは、てめぇのせいだったんだな……」

ヴァイスがリヴァーヴァル帝国にいるのは知っていたが……



ヴァイスの後ろ側に居た兵士が、ベッドの横に出て来て「失礼致します。モルガン様のお知り合いでございますか?」と聞いている。


「ああ、旧友だよ」

その言葉に慌てふためく兵士たち。


「は? 何言ってんだ。お前と友人になった覚えなんてねぇよ」

「相変わらず淋しい事言うね。昔、共に魔法について語り合った仲じゃないか」

「それはお前が聞いて来た質問に答えただけだろ」


「そう……なんだ。残念。僕はやっと仲良くなれたと思ってたのに……」

悲し気に項垂うなだれる様子を見て、こいつは信用できない奴だという事を思い出した。


何が信用できないのか、どうしてそう思うのか、言葉にするのは難しいが……



「じゃあ今から仲良くしようよ。そうだ!そうしよう」

ポンと手を叩き、さぞかしいい案を思いついたかのように話を進めていく。


コロコロ変わる表情は天真爛漫てんしんらんまんに見えるが……、これはこいつの本性じゃないと俺は思っている。

いつも腹の中が全く見えない感じに、どこか警戒してしまう。



「しねぇよ……」


「えー、僕とカミヅキが組めば……」

そう言うと怪し気に笑みを深めて続けた。

「……世界征服だって出来るよ?」


こいつの本性は、多分こっちなんだろうと俺は思う。



「だって君と僕は……世界で認められた、たった()()()()()()()()()()使()()なんだから」


奴は、最後に音符マークでも付きそうなほどに愉快ゆかいに言ってのけた。

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