Gクラス-9歳-2
「止まりなさい!」
管理事務員の言葉を無視して両親の元へ駆け寄ろうとすると……
「きゃぁッ!」
ブワッと向かい風が吹きつけ、顔を覆うように両手をクロスさせ足を止めた。
恐る恐る目を開けると、管理事務局員が鋭い目でこちらを睨みつけて忠告をする。
「タチバナさん駄目ですよ。それ以上近付くと法を犯すことになりますので。タチバナさんのご両親も、すぐにこの場所から立ち去ってください。さもないと……」
管理事務員が手を振ると、魔法のステッキが現れた。
「裁かなければいけなくなりますので」
そのステッキの先が、静かに両親に向けられる。
ヤバい。本気だ……
授業で何度も叩き込まれた。
国の決まりに逆らう者がどうなるか。
だから分かる。これ以上は駄目だ。
私が罰を受け、塔に入れられるのはまだ我慢できる。
でも、両親が私のせいで罰を受けるなんて……そんなの耐えられない!
「私、パパとママと離れて淋しいけど、ここでも楽しくやってるよ。早く卒業出来るように頑張るから、そしたら一緒にまた住みたい。だから……だから……心配しないで……」
本当は触れたい、またあの温かい手で握ってほしい。抱きしめてもらいたい。
そんな気持ちをグッと抑えて、出かけた涙を飲んで作り笑いを浮かべた。
両親がここに来たのは、私を学園から取り返そうとしての事だろう。
その気持ちが凄く嬉しい。でも、そんなのあまりにも不可能過ぎる。
だって、魔法が使えない人間が、魔法を使える人間に勝てるわけがないのだから。
「シエルは全く分かってない!!手紙にも書いたけど、この学園は表向きは魔法使いを育てる学校だ。でも、本来の目的は……っ、ぐぅあ!!」
話している最中に、背後にいた管理事務員がステッキを突きつけた。
お父さんはそのまま地面に崩れ落ち、動かなくなった。
その様子に、サーっと血の気が引いていく。
「キ…………、キャァァァーーーー!!お父さん!!お父さん!!」
駆け寄ろうとすると、別の管理事務員が私の腕を掴んで引き止めた。
「あなたっ!」
お母さんはお父さんを揺するが、反応はない。
「お、お父さんに何をしたの!?」
怒りに任せて振り払おうとしたその時、魔法を使った管理事務員が鋭いステッキを私の顔に向けた。
「えっ……」
目を丸くすると、すかさずお母さんの叫び声が耳に飛び込んでくる。
「シエル!!」
「タチバナ・シエルさん。いつまでこんな所に居るんですか?早く教室に戻ってください」
言い終わると同時に、私の足元がふわりと浮き上がり、腹部に押される感覚が走った。
初めて小説家に初めてなろうに登録、投稿させて頂きました。
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