私、死にたくない……28
「え、なんで?」
「俺が計画したお蔭でお前らも出来んだろ?」
「そ、そうだけど……好きじゃないなら譲ってよ」
「嫌に決まってんだろ。お前らの次なんて」
「でも……」
「っつーか、俺の言う事聞かねぇのなら、今ここで魔法を解くからな。そうなったらお前らは……」
「わ、分かったよ……」
その時、なぜか自分の手がピクリと動いたのが分かった。
試しに瞼を上げようとすると、微かに持ち上がり、明かりが私の瞳に差した。
細く横長の視界に、なんとなく見覚えのある顔が映り込む。
この人は確か……前に振った時に手が震えてた人だ。
少し視線を下げると、私の足の間に割って座り、横を向いて誰かと話している男が見えた。
この人にはまったく見覚えがないけど、話の雰囲気からすると、この人が主犯なのかもしれない。
視線をさらに動かすと、見覚えのある風景が映った。
ここは私の部屋……?
いや、似てるけど、置いてる物とかが男性物ばかりで全然違う。
その瞬間、主犯格の隣にいた男が私の顔をじっと覗き込んできている事に気付いて、ドキっとした。
「あれ?なんか目、開いてない?」
その言葉を聞いた他の男子たちは、次々と私を覗き込んでくる。
「え?ほんとだ」
「でも……意識はなさそうですね」
「だな。まぁ大丈夫だろ」
と言う主犯格らしき男は、私の肌着を手にしてビリビリに引き裂いていった。
いや……
止めて……
ブチブチとシャツのボタンがはじけ飛ぶ音が聞こえる。
なのに、まだ抵抗することも、叫ぶ事も出来ない。
男子たちが私の姿を見てほくそ笑んでいるこの光景に、恐怖に押しつぶされそうになる。
その時、
「……め……て……」
なんと、自分の口から震えるような声が出た。
そのことに驚いたのは私だけじゃない。
「……へ?今喋りませんでしたか……?」
「喋った……よな?」
「ああ、喋ったな……」
「嘘だろ!?なんだよ起きてるじゃん!魔法解けてんじゃん!二重にかけたんじゃなかったのかよ!」
「そんなわけ……俺の魔法が……。まだ全然時間も経ってないのに!なんでだよ!」
「かけ方が甘かったんじゃないのか?」
「お前、俺のせいだっていうのかよ……っ!!」
「どうして解けたのかなんていい!それよりこの状況、ヤバイんじゃないか?」
動揺した様子の主犯格は、突然ハッとしたような顔をしたと思うと、歪んだ笑みを浮かべた。
「な……何。怖がる事なんてないだろ?」
そして私の太ももをガシっと掴んで、足の付け根に向かって手を滑らせた。
「…………人に話すことなんて出来ない程に、めちゃくちゃにしてやればいいだけだ」
「や……」
男たちの、ゴクリと唾を飲む音が耳に入って来る。
その時――
突然、私の周りに底なしのような暗闇が広がった。
何事かと思って驚き目を張ると、突然周りの男子たち全員が叫び声を上げた。
「うわぁぁぁぁーー!!」
もがき苦しみ、その場でうずくまって行く男たちに、何が起こっているのかと恐怖に襲われる。




