表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【大賞受賞作】私を殺したのは、大魔法使い様ですか?~あなたがくれた幸せの呪い~  作者: 花澄そう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

189/283

私、死にたくない……9


…………


……


「へぇ。殺されて生まれ変わったっていう前世の記憶か……」

あごに手を当てるディオンは興味津々《きょうみしんしん》な目を向けてくる。


「うん」

ついに私は、ディオンに洗いざらい話をした。

でも、復讐ふくしゅうしようと考えている事だけは、どうしても言えなかった。こんな汚い感情を知られたくなくて……


そんな私は、意気地なしだと言われても仕方ないだろう。


「デジャヴ的な脳の錯覚とかじゃなくて、だよな?」

でも、あまり信じてくれてないかもしれない。


「うん。だって生まれた瞬間から覚えてるんだよ?」

「それも脳の錯覚さっかくなんじゃねぇの?覚えていたように感じたとか」

「私の言った事、疑ってるの!?」

「いや、信じてぇけど……そんな話聞いた事ねぇし」


パンパンに口をふくらますと、伸びて来た親指と人差し指でほほを挟まれ、空気が抜けていく。


「おもしれぇ。タコみてぇ」

と笑われて、私はムカッとしながら、口の中に墨があったら今すぐその顔にかけてやりたいと思った。


「人が真剣に話してるのに!」

「ん。でもまぁ、信じるよ。お前が言う事だし」

こんな嘘が付けるほど器用じゃねぇしな、とディオンは続けた。



「信じてくれるの?」

あんなに疑われた後だと、それさえも疑わしく思ってしまう。


「んだよ。次はお前が俺の事信じてねぇのかよ」

「し、信じるよ」

「怪しいな」

と疑いの目を向けられ、ふと今の状況に笑いが吹き出してしまう。


「なんだよ」

「おかしいね」

「は?」

「お昼にあんな絶望的な話をされて、誰とも話したくもない気分だったのに……今はこうしてディオンと笑いながら話してる。これも、ディオンの呪いのお蔭なんだろうな……」

ディオンが追いかけて来てくれなかったら、今頃……


「なんだそれ?呪いのお蔭って……」

「だってそうでしょ?」

「呪いなんて無くても、俺はあんなお前を一人にはしなかったと思う」

「え……っ」


その言葉に、ギュンと胸が締め付けられて、嬉しさが一瞬で湧き上がってきた。


「放っておいたら、何をしでかすか分かんねぇしな」

ディオンなりの優しさを感じる言葉に、また勘違いしそうになる。


これも、呪いのせいかもしれないのに……



私は高鳴る胸に手を当てて、話題を変える。


「お、お昼に聞いた学園長の話だけど……」

「ん?」

「なんで戦争なんてするんだろう……」

「さあ?資源や土地が欲しかったりすんだろ」

「その話が、突然なくなったりしないのかな」

「ないだろうな。生徒内で混乱が起きると分かっているのに告知したって事は、もう避けられない状況まで来てるんだろうし」


「そっか……。そういう事なんだね」

学園長側から考えたら、確かにそうなのかもしれない。


「あれ?そういえば話の感じからして生徒しか行かない感じがしたけど、講師や学園長も参戦するよね?同じ魔法使いなんだし」


「しねぇよ」

「なんで?強い人が出た方が勝ちやすいのに」

「馬鹿か。俺とか学園長が出たらとんでもない事になるだろうが。想像してみろ」

「え?とんでもない事……?」

一度想像してみると、私達が無傷で勝利を得る様子が頭上に現れた。


「全然分からないんだけど……」

絶対出た方がいいじゃん。


ディオンは私の言葉に、盛大なため息をついた。


「あっちにも学園長クラスがいるのは分かるよな?」

「うん」

「その学園長クラスの奴らが本気でやりあえば、せっかくの資源も大陸も吹っ飛ぶかもしんねぇだろ」

「えっ、そんな事ある?」

さすがにそれは言い過ぎじゃ……


「ある。実際に過去に例がある。強者が戦争に出るのは互いにリスクがデカすぎるんだよ。お互い様だって分かってるから、変に手を出さねぇようにしてる。それが暗黙の了解ってやつだ」

「……なるほど」


「あと、国の奴らが戦争を娯楽にしてるっていうのもあるな」

「戦争を娯楽?」

そんなバカな……


「例えるならチェスみたいなものだ」

ディオンは手をかざして光る板を出すと、すぐにその上にガラスのような小さなこまがいくつも並べられた。


「チェスは、ある程度の強さの駒が沢山あるから勝敗も予想しづらく手も多くて楽しい。でも大きな駒が2つだけだったらどうだ?」

突然、小さな駒が全て消えると、今度は大きな駒が光を放ちながら2つだけ現れた。


その瞬間、他国の魔法学校の生徒が参戦する理由が、少しだけ理解できた気がした。


「あっ……そっか」


「あと、もう1つ。万が一自分の強い駒を取られたらどうなる?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ