私、死にたくない……2
私たちが参戦するみたいに聞こえ……
「なぜなら――今の上級クラスには魔力の覚醒者が2名!さらに、100年に1度の優秀な人物がいるのだから!」
その瞬間、突然私に向けられる無数の視線。
その目は、まるで助けを求めているかのようで……耐えきれずに視線を逸らした。
「国の法に基づき、今ここに命じる」
学園長は、バッと手を広げて私にとどめをさしてきた。
「当学園の上級クラス生は、一人残らずこの戦争に参戦せよ!」
……え?
思考が停止する。
今、参戦せよって……どういう事?
私達は兵士でもなく、ただの魔法学校の学生なのに、何を言って……
「嘘だろ……?冗談に決まってるよな?」と、誰かが呟いた。
その瞬間から、その場で泣き出す者、ショックで倒れてしまう者まで現れ始める。
抗議をする者たちは、次々と学園長の足元に集まって行く。
その光景はまるで地獄絵図のようだったが、私はそれでも現実を受け止められずにいた。
突然、学園長の周りに居た生徒たちがこちら側に吹っ飛んで来た。
何が起きたのかと目を見張ると、学園長は大きな声で言い放った。
「いくら騒ごうと意義など認めん!!参戦は魔法学園の上級クラス生の義務である!!」
参戦が……義務……?
何、それ。
NIHONが戦争をする国だということは知っていた。
20年前の戦争で、沢山の魔法使いが短期間で死んだことも知っていた。
でも……生徒が強制参戦なんて……
そんなの……っ!!
「くれぐれもここから逃げるなど、安易な考えは捨て去るように。日取りが決まり次第、報告する。
なお、この話は下級クラス生には一切漏れる事がないように。
故意に漏らした者は、その時点で塔に送り込む」
「死ぬかもしんねぇくらいなら、塔に行った方がマシだろ!」
「確かに……」
学園長はどこからか聞こえてきたその声に目を細め、冷たい口調で続けた。
「塔に入るのがマシだと思うか?それは間違ってる。
参戦を拒否するのは重罪だ。重罪者は皆が知る軽罪者の下層階ではなく、上層階に送られる。
上層階は、寝る事もままならない程に酷い拷問が永遠と繰り返される場所だ。殺してくれ、と懇願する罪人は後を絶たない」
学園長の言葉に、みんなの顔が青ざめていく。
「こんな話をしたが、皆には塔入りを恐れて参戦するのではなく、魔法使いとしての誇りを持って参戦して欲しいと思っている。
そして、今までの訓練の成果を発揮し、魔法使いとしての使命を全うしてほしい!以上、解散!」
……無理。
絶対に嫌だっ!
こんな現実、受け入れられない――




