表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【大賞受賞作】私を殺したのは、大魔法使い様ですか?~あなたがくれた幸せの呪い~  作者: 花澄そう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

167/283

手紙の謎4


…………


……


「シエル。大丈夫?」

学食でパスタを食べるメイが、放心状態の私に声をかけてきた。



「え……?」

気づけば、フォークを持ったまま自分の手が止まっていた。

「あっ……ごめん」


「今日ずっとボーっとしてるね?久しぶりの授業で疲れたの?」

久しぶりの授業……

そうだった。確かにそう……


「そう、かも……」

そう返しながらも、頭の中はあの手紙のことでいっぱいだった。



「お昼食べたら早退させてもらった方がいいんじゃない?」

「……うん。……そうしようかな……」

まだまだ手紙について調べたいし、と思った瞬間――


突然、猛烈もうれつな爆発音が鼓膜こまくを突き破るように響き、学食全体が激しく揺れた。



「きゃぁぁぁーーー!」

すぐに周囲から悲鳴が飛び交う。


その爆音も揺れも収まったと思うと、次は皆パニック状態で出口に向かい始めた。


「シエル!私達も出よう!」

「う……うん!」

メイに手を引かれて、みんなが向かった建物のないグランド側の出口に足を向ける。

でも、なぜか出口を出た人たちが慌てた様子で中へ戻ってくる。


先頭あたりの人たちが何か言ってるけど、学食内がうるさ過ぎて全く聞き取れない。

私達は、前にも後ろにも行けず、すし詰め状態だ。



「なんで戻ってくるの!?」

絶対答えられない質問を、隣のメイは投げかけてくる。

「分からない」


一体何が起きているのか、この場にいる人たち全員が分かっていないようだった。


すると、先頭から「風が止んだぞ!」と言う声が聞こえた。


風?と疑問に思っていると、今度は押し出されるようにして私たちは学食の外へと放り出された。

まるで満員電車から降ろされるような強引さに、私は圧迫から解放された途端、よろけて地面に転んでしまった。



すりむいた膝を確認すると、後ろから不安そうな声が次々とれてくる。


「な……なんだ、あれ」

「……え?何、あれ……っ」


振り返ると、みんな驚愕きょうがくの表情を浮かべて同じ場所を目を見つめていた。


そのことに恐怖を抱きながら、皆が見ている方向に振り返ると――



訓練場と、その奥のグランドが大きくえぐられている様子が映った。

まるで隕石でも落ちたかのように丸くへこんでいるそのくぼみは、直径50mくらいありそうに見える。


落ちた時に突風でも吹いたのか、えぐれた部分の周辺の木々はなぎ倒され、グランドに落ちている木々も映る。

かろうじて斜めになっている木も、倒れるまで時間の問題だろう。

ああ、エルバードが手入れしてる花壇もめちゃくちゃになってる……



「これは、何……?」


いつの間にか横に立っていたメイが、また私に答えられない質問を投げかけてくる。


そんなの分かるわけないと思った瞬間、何故なぜ両親の手紙であぶり出しをした時に出てきた単語が、ふっと脳裏に浮かび上がってきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ