不安定な魔力11
「メ……イ……」
「目が覚めたのね!!シエル!!」
手を握っていたメイは、立ち上がって私を強く抱きしめた。
「良かった!」
「メイ……」
「もう、目を覚まさなかったらどうしようって思ったじゃないっ!!」
抱きしめられている私は、メイの肩越しにロッキングチェアに座るディオンと目が合った。
ディオンの無事を確かめてホッとした瞬間、すぐ横から声がした。
「ほんま良かったわ……」
「シエルお姉ちゃん……」
「目が、青い……変わったのは髪色だけじゃないんだ」
その声に視線を向けると、ルイーゼやローレンやアラン、クラスメイトたちの顔が飛び込んで来た。
「……み……んな……」
ルイーゼとアランはボロボロと涙をこぼし、ローレンは目を真っ赤にしている。
そんな様子に驚いてしまう。
……えっ……
もしかして私、そんなに長い間寝ていた?
「シエルちゃん!!遅いよ……っ!!私たちがどれだけ待っていたと思ってるの!?」
ルイーゼが泣きながら怒鳴ってくるから、ビクッとして思わず目を伏せた。
「ご……めん……」
「本当に、待ちくたびれたわよ!」
珍しく大きな声を上げるルイーゼに、目を向けれない。
「みんな……本当に、ごめんなさい……」
振動が、ドドドと酷い音を立てているのが分かる。
身体が委縮してしまいそうで目を伏せたままでいると、メイが私に優しく諭すように言った。
「違うよ、シエル。みんな、怒ってるんじゃないの」
柔らかなメイの口調に、私はゆっくりと視線を上げる。
「ルイーゼはあんな言い方をしたけど、シエルが目を覚まさなかったらどうしようって、ずっと毎日不安だったの」
そう言われてルイーゼに目をやると、「戻ってきてよかった……。本当に……よかった……」と眉を寄せて涙をこぼしていた。
「私もそう。でもそれは……私たちがそれだけシエルの事が好きだからなのよ」
そんな言葉に放心すると、突然自分の目から涙がぽろっとこぼれ落ちた。
「……ほ、本当?私、何も出来ないし、何も返せないのに……」
「返すって何よ。友達なんだから、そんな貸し借りの関係なんかじゃないでしょ?それに、シエルからはいつも沢山貰ってるよ」
「えっ?」
「楽しい、嬉しいって気持ち、たくさん貰ってるから」
と言った後、メイは男性陣を振り返ると目を細めて続けた。
「まぁ……男どもは私たちみたいに純粋な気持ちだけなのかは分からないけど?」
「え?どういう……」
ローレンは、私の質問を咳払いで遮る。
すると、すぐにアランがメイより前に出て来て、自分を指差して言った。
「俺は、本気で純粋に心配してたんやからな!しかもサオトメよりも断然!それにラブだってちゃんと面倒見てたし!」
「ラブ……?」
あれ?そう言えば、ラブはどこにいるんだろう。
辺りを見回していると、眩しいほどの笑顔のローレンがアランの肩を押して、アランよりも前に出てきた。




