1000~2000人に1人の存在4
丸眼鏡の男はスッと手をかざすと、何もなかった所に半透明のボードが出て来た。そのボードに人の形や円グラフが浮かび上がってくる。
「この世には、1000~2000人に1人くらいの確率で、魔法の力を秘めてこの世に生まれてくる」
また出た!魔力発言!
「さすがに絵本などで『魔法』の存在は知っているとは思うが、君は魔法が本当に存在すると思っているか?」
その言葉に、私は即座に首を振った。
すると、丸眼鏡の男は鼻で笑い、手の平を天井に向けた。
「残念ながら、それは不正解だ。魔法の力は……」
ボッと火が付くような音がしたと思うと、丸メガネの手の先から青い火の塊のようなものが現れた。
「このように存在している」
嘘っ……!!何、これ……っ!
「魔法にはこういった分かりやすく視覚で分かるものや、さっき君がここに来た時のような移動型の魔法、他にも様々なものがある。
魔力は生まれ持ったものだ。魔力を持ってない人間がいくら訓練をしたところで、魔法が使えるようにはならない。
魔力はほとんどの場合、3歳から6歳に検査機で感知できるくらいになる。
だから3歳から6歳まで、毎年魔力検診を受ける事を国民の義務としている」
丸眼鏡の男は、眼鏡の真ん中を人差し指でクイっと持ち上げたと思うと、ため息をついて続けた。
「……それなのに、両親は君にその検診を一度も受けさせなかった。まぁ、最初からそのつもりだったんだろう。君の出生届さえ出されていなかったからな。そのせいで、捕獲が大幅に遅れてしまった」
出生届が、出されていなかった?
そんな……
そんな話、全部嘘だ!
そうに決まってる!
でも――
いくら頼んでも外に出してもらえなかったこと。
愛されているはずなのに、病気になっても病院に連れて行ってくれなかったこと。
そんな不信感や違和感を思い返すと、どうしても、その話を完全に否定することができなかった。
すると、クリフという男が口を開いた。
「……ったく。自分の事しか考えてねぇよな。魔力を持つ子供をそのままにすると大変な事になるって、いい大人なら誰でも知ってる事なのになぁ……」
「大変な事って……?」
「は?そんな事も知らないのかよ。お前、今いくつだ?」
「ご……5歳、です」
「5歳なら、幼稚園で習っているだろうが」
そこへ、丸い眼鏡の男が会話に割り込んできた。
「この子は今の今まで、あの家から一歩も出たことがないはずだ。だから園などには行っていない。恐らく、ずっと家の中に閉じ込められていたのだろう。外に出ていれば、もっと早く捕獲できていたはずだからな」
『閉じ込められていた』という言葉に、胸の奥がざわつく。
れど、その通りだと思う自分もいて、私は奥歯を噛みしめた。
「え!?まじで!?あんな狭い部屋だけで5年も過ごしてたのか?じゃあ出れて良かったじゃねぇか」
笑って背中をバンバンと叩かれ、思わずへの口になる。
全然良くない!
確かに、心底あの家から出たかった!
でも、お母さんを、あんな風に泣かせてまでして、出たくなんてなかった……
お母さんの悲痛な叫びや、歪んだ顔を思い出して胸が酷く痛くなる。
「まぁ、知らねぇならこのクリフお兄さんが教えてやろう」
偉そうに胸をポンと叩くクリフという人に冷めた目を向ける。
「魔力を持つ子供を放っておくと、知らないうちに身近な人間を殺してしまうことがあるんだよ」
「……え?」
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