ついに進級試験12
そう言って距離を開けてしまったローレンに一歩近づき、手を取ろうとすると――
突然、私とローレンの間を割るように、目の前に誰かが立ちふさがった。
私の視界の中で、クセのない白銀の髪がサラリと揺れた。
なんでディオンがここに……
もう今年は会う事は無いと思っていたのに。
「クソッ!……俺の忠告は完全に無意味だったな」
「あれ?誰かと思ったら、カミヅキ講師じゃないですか。今日はいらっしゃらない日だと認識してたのですが」
「よく知ってんな。お前のクラスを担当してるわけじゃねぇのに」
「当たり前ですよ。シエルちゃんのクラスを担当してるのですから」
そう言うとローレンが何かを含むように目を細めた。
「で……この状況は、どう捉えたらいいですか?まさか……宣戦布告、とかじゃないですよね?」
「はぁ?んなわけねぇだろ!」
こ……困った……
二人は普通に会話してるけど、私だけが全く理解できてないみたいだ。
「そうですか。安心しました。さっきから誰かに見張られているのは感じていました。なのに、こんなタイミングで現れたので、まさかの宣戦布告かと思ってしまいましたよ」
「お前、前から思っていたけど本気でウザイな」
「それはこちらのセリフです」
ディオンが目を鋭く細めると、ローレンはニコッと微笑む。
その瞬間、二人の間に見えない火花が散った気がした。
「宣戦布告じゃ無いのでしたら、もう2人だけにして頂けますか?大人なら意味、分かりますよね?」
ローレンはそんな事を話しながらディオンの横を通り過ぎ、私の肩にそっと手を置いた。
「シエルちゃん、じゃあ保健室に連れてってくれるかな?」
「えっ、はい……」
その時、ブチっと何かがキレる音が聞こえたと思うと、私の肩に乗せていたローレンの手を、ディオンが凄い勢いではたき飛ばした。
その事に驚いた瞬間、ディオンに急に引き寄せられ、視界がぐるりと回った。三半規管が混乱するほどのスピードで、顔を掴んで振り返らされたと思うと――
次の瞬間、ディオンは私の唇を塞いできた。
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