ついに進級試験8
でも、ディオンは指先をこちらに向けたまま、何もしてこない。
不思議に思ったその時、ギリっと歯を食いしばる音が落ちて来た。
「クソッ!」
ディオンは、舌打ちの音を残して目の前から突然消えてしまった。
その直後、私は骨が抜けたかのように全身の力が抜け落ちた。
…………
……
「あのタチバナって奴、学園最弱だったくせに、飛び級なんておかしいと思わない?魔力覚醒だとか言ってるけど、それも怪しいし」
この前の出来事を思い出している間に、さっきの女子達の会話が一変して私の話題になっていてた。
耳を傾けたくないのに傾けてしまう自分が悲しい。
「絶対おかしいよね!講師や学園長にまで色仕掛けしてんじゃないの?」
「あー、ありえる。やりそー」
何?講師にまでって……
私、一度たりとも色仕掛けなんてした事ないんだけど。
なんなら、前世も合わせて処女なんですけど。
「努力もせずに体ばっか使って、マジでキモイし死んでほしい!ちゃんと頭使えよ!」
「だよねー。顔だって、ちょっと位いい程度なのにさー。最近完全に調子乗ってるよねぇ。あのドレスも、全然似合ってないし」
「覚醒とかも嘘くさいよねー」
「分かるー。あんなのが上級クラス棟に来るとか、マジで勘弁して欲しい」
好き勝手に言いたい放題言ってる2人の会話を聞いていると、当たり前だけどだんだん腹が立って来る。
暫く一人になりたかったけど、これ以上続くようなら何か言わないと気が済まない。
そう思い始めた頃、聞きなれた声が耳に飛び込んで来た。




