表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【大賞受賞作】私を殺したのは、大魔法使い様ですか?~あなたがくれた幸せの呪い~  作者: 花澄そう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

126/283

ついに進級試験5


…………


……


どうしよう……

ついにメイにネックレスの存在がバレてしまった……


『何これ?』と聞かれて、咄嗟とっさに『学園で買ったもの』って答えたけど……絶対怪しいよね……

だって、普段からそういうのを売っているお店にすら入らないし、お金が全然無いのも知っているから。


でも、メイはその事に関しては深く追求してこなかった。


……なんで?



「それでは本日のパーティの主役、タチバナ・シエルさんとジョウガサキ・アランさんに登場していただきましょう。みなさん、盛大な拍手でお迎えください!」


アナウンスが響いた瞬間、考え込んでいた私は現実に引き戻された。



突然、大きな音楽が鳴り響く。


「はい」

そう言われて見ると、隣に立つ正装をしたアランが私に手を差し出す様子が映った。

その瞬間、パーティ会場のステージ裏で入場のタイミングを待っていたことを思い出した。



「どうぞ、お手を。お姫様」


そんな恥ずかしいセリフを、恥ずかしげもなくサラっと言ってのけてしまう所がアランらしい。

普段と違ってアンティークなグレーのスーツが、とてもよく似合っている。

悔しいけど、カッコイイな。



ディオンとの約束もあるし、アランをほぼ振っている相手ということもあって、私はこの手を取るわけにはいかない。一応、今日はディオン不在の日だけど。


アランは、いつになったら諦めてくれるんだろう……

気持ちは嬉しいし、時々、話していると時間を忘れてしまうほど楽しい。

でも……どうしても特別な異性として見ることはできない。


それに、大前提として――

復讐の事を考えると、恋愛はただの邪魔でしかない。


そんな事を考えている間に、アランが私の手を優しくすくい取った。



「ちょっと……!」

そしてそのまま、私をステージ側に引っ張るようにして歩き出した。

「行こう」


ステージの明かりが私の顔を照らした瞬間、これまで感じていた不安が再び胸によみがえり、思わず立ち止まってしまった。



『お前にドレスなんて似合わねぇっつーの』

『ミジンコに真珠じゃない?鏡見たらぁ?』

『また調子に乗って……』

未だにまだ陰口を言われている。

その人達が、こんな衣装負けした私の姿を見てなんて思うのか、想像するだけで怖くなる。


「シエルちゃん?」

「アラン……やっぱり私……」


こんなに素敵なドレスを着て、全校生徒の前に立つなんて、やっぱ無理だ。


メイたちは綺麗だって言ってくれたけど、それは友人ならではの言葉に決まってる。



「なんや緊張してるんか?」

首を振ってから覗き込むアランをチラっと見る。


「ああ……。そういう事か。なら、出た方が早いな」

「えっ」

「行くで!」

アランは優しく笑いながら、私を励ますように引っ張り、ステージへと誘った。


「ちょっとアラン!」


すると、すぐにステージの眩しい照明が私を包み込んだ――


「え……嘘っ」

「かわいい~」

「超綺麗……」

「ヤバ、いつも以上に可愛いんだけど……」


周りからそんな声が聞こえ、閉じていた目をゆっくりと開ける。



「見てみ。シエルちゃんを見るあの子らの顔を。憧れの目に見えへん?」


アランの言葉を受けて見てみると、確かに私に向かう目が輝いているように見えた。



「あれは、それだけシエルちゃんが可愛いって証拠や」

白い歯を出し言われたアランの言葉に、まるで魔法がかかったみたいに不安が消えていく。


「だからもっと自信持ってええんや。可愛いのは俺が保証する!」

アランに励まされるように背中をトンと叩かれて、勇気まで貰う。



そんなに顔に出てたのかな?


……優しければ優しいほどに、気持ちにこたえれない罪悪感で心が痛む。



渡されたマイクで、笑いも混ぜながら悠長に挨拶をするアランは、もうどっからどう見ても学園の人気物だった。


そんな姿を見ながら、本当はこんな人と人生を共にしたら、きっと幸せなんだろうな……と思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ