ついに進級試験4
その放送を聞いて「学園長?」「珍しっ」と教室がザワついた。
「進級試験お疲れ様。満足のいく結果を出した者もいれば、そうじゃない者もいるだろう。各々《おのおの》今日の試験結果と向き合い、来年の試験に向けて練習に励んでくれればと思っている。
で……、だ。
実は今日、進級試験で飛び級の権利を獲得した生徒がいる。しかも2人だ!これは非常に素晴らしい事で、称賛されるべき事だ!」
スピーカーから流れてくるその台詞に、ふとアランと顔を見合わせてしまう。
少しだけ照れたように笑ったアランに、私も同じように笑い返した。
「みな知っての事と思うが、こんな事は学園始まって以来の事。
だから……
今夜は盛大なパーティを開こうと思う!!皆、必ず来るように!!詳細は決まり次第また報告する!では」
学園長が言い終わると同時に、終わりのアナウンス音が鳴った。
すぐに私の隣にいたアランが口を開けた。
「なんや、またパーティやるんかい。ついこの前、魔法会の打ち上げパーティしたとこやん。あの学園長、あーんな髪型に渋い顔してるわりに意外とパーティ好きやねんな」
私はあの渋い学園長の顔を思い出して、思わず同意してしまった。
…………
……
パーティ会場の控室みたいな部屋に呼び出された私は、親友のメイにじりじりと怖い顔で迫られる。
「え……?なに?」
肩に乗っているラブを取り上げると、着ていた白いワンピースをスポーンと脱がされる。
「きゃー!な、なにするの……さ、寒い……」
タンクトップと下着姿にされてしまった私は、慌てて身を縮める。
そんな私に、メイは怖い顔をしたまま私に言い放った。
「主役が、こーんな普段着みたいな服で言いわけがないでしょ!?」
「ふ……普段着……!?」
私が持っている中で一番かわいい服を、普段着だと言われてしまい、ショックを受ける。
そんな私をよそに、メイはため息をつきながら何かを取り出してきた。
「やっぱり持って来て正解だったわ。どうせこんな事だろうと思ってたから!」
目の前に出されたのは、白に近いきなり色のドレス。
これは去年、メイが誕生日に着ていたドレスだったと思う。
「えっ!?……まさか……、私がそれ着るなんて……」
「シエル以外に誰が着るのよ!」
「わ、私そんなの似合わな……」
「つべこべ言わずに脱ぐ!初めてのドレスを1人で着るのは難しいから手伝ってあげる!」
「えっ」
「着替えたあとはヘアメイクよ!部屋の外でルイーゼたちが待機してるから!」
その時、胸元のネックレスの存在が頭を過った。
「ちょっと待って、メイっ!」
タンクトップの裾に手をかけてきたメイの手を止めようとしたけど、間に合わず、呆気なくタンクトップは脱がされてしまった。
そして……
「はい!時間ないからちゃっちゃと着替え……ん?」
メイは、私の胸元で揺れるネックレスを目にした途端、ピタリと動きが止まった。
「…………何、これ?」
ぐっと眉をひそめたメイが、ネックレスをじっと覗き込む。
私の頭の中は、一瞬で真っ白になる。




