ついに進級試験2
試験場は、魔法壁のある訓練所に似ている。
訓練所と違うところはというと、訓練所よりも広くて壁が透明じゃないところだと思う。
「Fクラス、タチバナ・シエルさんですね」
長い机の奥には、学園長、副学園長、そして教頭の3人が横並びで座っている。
「はい」
元気よく返事をしたものの、自分の声が緊張で上ずっていることに気付いた。
足が微かにだけど震えている。
でも――頑張れ、私!
私はあの数百年に1度しか現れないと言われる『魔力の覚醒』をした魔法使いなのよ!アランもだけど。
そんな私がFクラスからEクラスに上がれないわけがない!
しかも、ずっと人よりたくさん勉強をしてきたんだし(知識は偏り気味だけど)。
だから、合格出来ないはず――無い!
「準備はいいかな?」
「はい!」
…………
……
「ほ……ほんとですか?」
驚きのあまり開いた口が塞がらない、というのはこの事を言うんだろう。
「はい。本当です」
私は信じられない気持ちでその返事を聞いた。
学園長は、机に両肘をついたまま指をクロスにすると、ニコっと目を細めた。
「Fクラス、タチバナ・シエルさんはEクラスを飛ばし、Dクラスに進級してください。飛び級おめでとう」
う……嘘……
本当に、この私が……
飛び級ぅぅ――――!?
「いや~何10年ぶりですかねぇ~、飛び級が出たのは」
「久しく出ましたな」
「全くです」
と、審査員の3人が話している中、私は放心状態だった。
今まで散々、ミジンコ級の魔力だとか、最弱魔法使いだとか言われて馬鹿にされてきた、この私が……
とにかく!
信じられないけれど、なんと私は数十年ぶりの飛び級を達成したらしい。
ヒャーー!!
心の中で、私は喜びの声を上げた。




