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1000~2000人に1人の存在2


一体何がどうなっているのかと、ポカンとしながら視線を下げる。


すると、地面もないのに落下するわけでもなく、浮いているように見える自分の足があって息が止まった。


よく見ると、足元の遥か下に、小さなジオラマのように建物が並んでいるのが見えた。

その瞬間、恐怖が爆発し、どこまでも続く空に向かって叫んだ。


「キ……キャーーーーーー!!」

足の震えが止まらない。


「あ、まーた間違えちまった」

背中側からそんな声が落ちてきて振り返ると、真後ろにダルそうに頭をく、あのコスプレ男がいた。


「えっ!?」

その事に驚いた時、腹部に圧迫感を感じ、ふと自分の体を見下ろした。

自分の目に、腹部を回る大きな腕が目に入る。


まさか今、私は後ろのコスプレ男に抱えられて空を浮いている……?



いやいや。

もっと現実的に考えよう。

身一つで浮くなんて……そんな事あり得るわけが……


そう思いながら再び足元を見ると、あまりの高さに足がすくんだ。


「お、お、お……落ち、落ちる……」

「落ちないし」


この人が『悪い人』だと分かっていても、こんな高所から落下する恐怖には抗えない。

スカイダイビングを楽しむ人を心から尊敬しつつ、ガタガタと震える手で腹部に回された腕を掴んだ。


すると、

「なんだよ。怖いのか?おんぶにしてやろうか?」

と言って、こんなバカ高い場所で体勢を変えようとするから大慌てで止める。


「だっ、大丈夫です!い、い、今のままで……大丈夫ですから!」

だからもう動かないで!お願い!


半泣きになりながら止めると、私のほほに風が通り抜けて、自分の髪がふわりと揺れた。



「あっ……」

懐かしい。

風を感じるのなんて、いつぶりだろうか。


風の吹く方向に顔を向けると、一面に広がるピンク色の雲が視界に飛び込んできた。


その光景はとても幻想的で、私の中の時計の針がピタリと止まってしまった。


「き……綺麗……」





「もうすぐ夕方かぁ。最近1日が早いなぁ」


男の声を聞きながらふと視線を見上げると、空には大小さまざまな月のような光る物体が3つ浮かんでいた。


「月が……3つ……?」


やっと少しこの高さに少し慣れて来た私は、勇気を出してもう一度足元を見下ろしてみる。

すると、スカイツリーや東京タワーの他に、へんてこな形の何がどうなっているのかも分からないような建物が見えた。


この景色は近未来的と言えなくもないけれど、それを超えた何か別の世界のように感じられた。

言うならばSF映画のようだ。


今の状況さえ理解できない私には、この景色が何を意味するのかなんて分かるはずもない。


半放心状態でそんな景色を見ていると、背後から後ろの人とは別の声が飛んで来た。

「おいクリフ。また座標ズレてるぞ」


その声に、私をぬいぐるみみたいに抱える男が私ごとグルリと振り返るから、小さな悲鳴が漏れた。

「ひっ」


そして目に飛び込んで来たのは、あの時玄関にいたコスプレ男。

彼も私達と同じように()()()いるのを見て、釘付けになった。


「分かってますよ~。昨日飲みすぎたせいで集中力足りてないっぽいですよ」

「酒が残ってるくらいでコントロールが利かなくなるとか、お前学生からやり直せ」

「はは、それは嫌ですよ」

「じゃあさっさと学園長に所へ行け。お前ら以外とっくに着いてるんだぞ」

それだけ言うと、目の前の男は忽然こつぜんと視界から()()()


「言われなくても分かってるのになぁ……」


私は、いきなり目の前で人が消えた事に驚いて、目をゴシゴシとこする。


そしてゆっくりと目を開けると――

今度は空ではなく、偉い人が使ってそうなおもむきのある洋風の部屋が映った。



「……へっ……?」



えぇ――!?

何ここ!?今度はどこー―!?


私は驚きのあまり、目を向いて辺りを見回す。



全体的にヨーロッパ調で、茶色で統一された大きな机にソファなど家具。

そして天井はドーム型になっていて、その半円に沿うようにビッシリと本が並んでいる。


「天井に……本棚……?」


あの本は本物なのか……それとも、ああいう飾りなのか……




眉を寄せて見上げていると「遅い」という声が耳に届く。

そちらに目を向けると、玄関にいた人たちが視界に入った。

その中で、渋い顔をした丸い眼鏡の男が、一人だけ堂々とソファに腰掛けている。

初めて小説家に初めてなろうに登録、投稿させて頂きました。


超新人で至らない所はありますが。「面白い!」「続き読みたいな!」と思ってもらえたら、ブックマークや5つ星評価をいただけると、とても嬉しいです(*´-`*)

モチベーションが、ぐんと上がります( *ˊᵕˋ*)

ぜひよろしくお願いします!

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