表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【大賞受賞作】私を殺したのは、大魔法使い様ですか?~あなたがくれた幸せの呪い~  作者: 花澄そう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

116/283

進級試験前6


ディオンのその言葉に、それまでほうけていた私の意識が一気に覚醒した。

勢いよく体を起こし、すぐにソファの端に背中を押し付けるようにして距離を取る。


「さ、触らないで!!」

咄嗟とっさに胸元を押さえ、ネックレスを隠すようにぎゅっと握りしめた。


どっ、どうしよう!

今……絶対見られた、よね?



私の様子に、ディオンは分かりやすい位に片眉を上げ、見透かすような目で見てくる。


「おい、それはなんだ?」

そう聞かれて胸をギクっとさせた。


「それ、普通のネックレスじゃねえな」

その質問に、一瞬で逃げ出したくなったけど、逃げようとしたところで相手はディオンだ。

その行動に意味がない事くらい想像するまでもない。


「……こ、これは……」

急いで言い訳を考える私に、ディオンは逃げ道を塞いでくる。


「学園の物じゃねぇな。それを一体どこで手に入れたんだ?」

「うっ……」

やっぱり、ディオンに適当な嘘なんて通じそうにない。




なら、言うしかない?


本当は絶対に持っていてはいけない私物を、この年まで隠し持っていたことを……


ディオンは講師なのに、生徒が絶対に入ってはいけない書庫に入れてくれた。

秘密を分かち合うって意味では、言っても大丈夫かもしれない。


どちらにしても、ここまでバレてるのに、ディオンに隠し通すのは無理な話だろう。

だったら、潔く話してしまった方が……



「絶対……誰にも言わない?」

「言うなって言うのなら言わねぇよ。って、俺は誰とも慣れ合わねぇからわざわざ言う奴なんていねぇけど」


ディオンは冷酷で訳の分からない奴だけど、今の所、言った事は守る人だと思ってる。

だから言ってもいい、よね……?


無理やり自分の中で納得をさせてから、観念した気持ちで口を開ける。


「実はこれ、小さい頃に親からお守りとしてもらった物なの」


「え?親?」

「……うん」

「へぇ、凄げぇな。その年まで学園にバレねぇとか。衣類さえもこの学園には持ち入れないのに」

ディオンは目を丸くして驚いた。


「そうらしいんだけど……入園検査の時、タンクトップの中に入ってたから気付かれなかったみたいなの。私も、どうせすぐに気付かれて取り上げられるんだと思ってたんだけど、運よくこの年までバレなくて……」


「確か、5歳以上の女子は、全部剥いてまでして入園検査しねぇんだったな。まさか、学園側も下着姿の中に私物を隠す幼児がいるなんて思ってもしなかったんだろうな……」

「うん……」



その時、突然ディオンが溜め息をついてひたいに手を当てて目を向けてくる。

そして、手をこちらに差し出してきた。


「そのネックレス貸せ」


その台詞セリフに、心の奥底で焦りが湧いた。

「え?……なんで?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ