表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【大賞受賞作】私を殺したのは、大魔法使い様ですか?~あなたがくれた幸せの呪い~  作者: 花澄そう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

112/283

進級試験前2


これは、全部両親からの手紙。

ある程度たまると、定期的にファイリングしてベッド下の収納にしまっている。


頻繁ひんぱんに来る手紙。


それだけで、たくさんの愛を感じる。



なのに……

クラスメイトと比べて送金が全くないという理由だけで、疑ってしまった。


心の中で両親に謝りながら、最近届いた手紙を手に取り、鼻に近づけて息を吸い込む。

すると驚く事に、かすかに果物のような匂いがした。


次々と過去の手紙の封を開けて香りを確かめていくと、最近の手紙はすべて香り付きだということが分かった。

どうして今まで気づかなかったんだろう?



古い手紙はどれも匂いが感じられなかったけど、もしかして時間が経ち過ぎて消えてしまったのかもしれない。


手紙についた香りは、ほとんどがリンゴで、時々みかんのようだ。


ふと手にしていたリンゴの香りがする手紙の日付を確認する。

すると4月の物だった。

「……春でもリンゴ?」


季節感を感じさせたいわけじゃないんだ、と気づいたその時、寮内放送が流れた。



「間もなく朝食の時間が終わります。まだの方はすぐに食堂まで来てください」

「あっ……ラブ!急ごう!」

私はラブを抱き上げ、急いで食堂へ向かった。



…………


……


5歳の時にディオンと初めて会った『特別講師室』のドアをノックする。

でも何も反応がなくてガラリと開けると、ソファに横たわるディオンの姿が目に入った。


「あ!いた!」


ディオンが今日は授業日じゃないのに講師会議があるとかで学園に来ていると聞き、ずっと探していた。

早く、昨夜のお礼を言いたくて。


部屋に足を踏み入れると、すぐに小さな寝息が聞こえて来た。



「えっ……、寝てる?」


私は忍び足でディオンが横になっているソファのそばまで近づき、そっとしゃがみ込む。

そして、寝息を立てるディオンの顔をじっくりと覗き込んだ。


本当に寝てる……!


まつ毛、長っ!

しかも寝ている姿まで国宝級の美しさだなんて、と思わず感動してしていると、ディオンのまつ毛がスッと持ち上がった。


サファイヤのような碧い瞳が現れると、その瞳がじっと私を見つめる。


「お、起こしちゃった?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ