魔法会14
す……凄い。
魔力増幅のバンドは付けているとはいえ、魔法でこんな物が作れてしまうなんて。
驚いていると、「やったー!」という大きな声が耳に飛び込んできた。
視線を向けると、Iクラスの子供が直径20cmくらいはありそうな真っ赤な宝石を手に、飛び跳ねていた。
あんな大きな物を……!
と思った時、隣から「あぁ~……」と悔しそうな声が聞こえてきた。
誘われるように隣の机を見てみると、そこには土がついたまま、何も変わらない黒い石が転がっている。
他のクラスの様子も気になって見回すと、宝石のように輝いているものもあれば、半分だけしか変わっていない中途半端なもの、全く変化していないもの、結果は様々だった。
「終了ーー!!これから審査を始めます。皆さん、一歩下がって手を後ろで組んでください」
公平に審査が行われるように、審査はクラス講師ではなく管理事務局の人間がする。
円に並んでいる机の中心に、空から審査員が飛んでくる。
その審査員は――
「あ、クリフおじさん」
なんと、クリフおじさんだった。
「お、シエルちゃん」
クリフおじさんは軽く笑いながら、チラッと私の台の上の石に目を向ける。
静かに眉を上げた後、ゆっくりと机を一周見渡して言った。
「頑張ってるな」
その発言に、なんとなく自分は優勝ではない気がした。
私はもう一度周りの石を見渡す。
すると、すぐに向かい側のSクラスの生徒の石が目に飛び込んできた。
……綺麗……。
それは、他の石とは透明感が桁違いで、まるで光そのものを閉じ込めたような美しいダイヤモンドの形をしていた。
一方、自分の石に目を落とすと――
確かに凄く輝いてはいる。しかも、Sクラスの石よりも、明らかに細かくカットされている。
でも、肝心の透明感が、あのSクラスの石に比べると一歩足りない気がした。なんか筋も入ってるし。
やっぱり、優勝は無理かも。
さっきまで密かに抱いていた『もしかしたら』という自信が、風に吹かれた砂山のようにあっという間に崩れていくのを感じた。
「じゃあ、Iクラスから見ていこうかな」
そう言って、1番下のクラスから順に見ていくクリフおじさん。
順番はあっという間に自分の番まで回って来て、石を軽く持ち上げてから「やるじゃん」と一言言われるも、すぐに次に行かれた。
やっぱり……優勝じゃない。
優勝はきっと……
Sクラスまで見終えたクリフおじさんは、咳払いをしてから「結果を発表します」と言う。
私は、奇跡が起こって欲しい気持ちで、両手を握りしめてギュッと目を閉じた。
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