魔法会13
「石を宝石に変えてください。種類は問いません。より光り輝く宝石に変えれた人が勝ちです。
同レベルの争いになった場合は、お招きしている宝石審査協会の会長が審査を行います」
その時、遠くにある大きなテントの下にいた、園長と並んで座るお爺さんのような人が立ち上がって静かに頭を下げた。
「作り直しは出来ません。1回こっきりの勝負になります!では、みなさん準備はいいですか?」
ふと自分の向かい側の女子を見ると、手首にはSクラスであるオーロラカラーのハンデバンドが見えた。
ニコッと微笑まれて、自分と違って酷く堂々として余裕まで感じて、羨ましく思ってしまった。
チラっとFクラスの待機席を見る。
すると両手の先をアライグマのようにすり合わせ拝むように応援するクラスメイトや、両頬に手を添えて『頑張って~』と叫ぶクラスメイトが映る。
優勝したクラスの特典はプレミアムメニューだけど、実はそれだけじゃない。
私は、もう一つ特典があると思っている。
それは――両親に自分たちの姿を見せられること。
魔法会の様子は、毎年全国放送されるらしい。
でも、その映し方は遠くからで、誰が誰だか分からないほど小さくしか映らないんだそう。
けど、優勝したクラスは締めくくりのインタビューでちゃんと画面に映る。
それが、成長した自分の姿を見せられる、唯一のチャンスだ。
両親に、今の姿を見てほしい。
そう思っているのは、きっとクラスメイトも同じはず。
皆の為にも、自分の為にも、絶対に勝ちたい!
そして、皆と笑顔で学食でプレミアムメニューを食べたい!
ここまでの皆の思い、頑張りを、絶対無駄にしたくない!
絶対に――優勝する!!
気付けば、さっきまで感じていた緊張感や責任の重圧は不思議と無くなっていた。
それどころか、頭の中が驚く程にクリアになっていた。
「よーい、始め!」
パーンとピストルが鳴って、みな一斉に目の前の石に手をかざす。
――お願い。
世界で一番輝く宝石になって……
そう強くイメージしながら、手の先に魔力を込める。
すると、目の前の黒っぽい石はすぐにポウっと光を放ち始めた。
土が洗い流されるようにボロボロと机の上に落ちていく。
光の中で、黒っぽかった塊は徐々にガラスのような透明感を帯びていく。
それはまるで黒い部分を、ゆっくりと浸食するかのよう。
光が完全に消えた時、そこに現れたのはダイヤモンドのように輝く宝石。
でも、石の中には金色に輝く針のようなものがいくつか入っていた。
「……出来た?」
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