4、クラッド、復讐に目覚める
地方都市マルドホーン。薬草屋の前に人だかりができていた。
「俺は戦士だ。どうにも効く薬草があるとやってきた。100は欲しいな」
「はい。旦那様、いかがいたしましょう?」
「売ろう。マリー、この人を店の奥に案内しなさい」
店主はクラッドだ。クラッドはこの町に馴染んでいた。店もこの一年で大きくなった。世界各地からクラッドの人脈によって取り寄せた回復アイテムの数々。高額な物もあればお手頃な価格の物もある。さらに店には大きな鍛冶場を併設し、アイテム錬成も行っている。回復アイテムの激レア物が量産される。
クラッドは満足げに店内を見て回る。クラッドの名声はこの地方に、いや世界中に知られていた。回復アイテムコレクターのクラッドとして。
けたたましい馬の嘶きとともに女騎士レイカが馬に乗ってやってきた。後ろには騎士団を引き連れている。怪我を負い、引退していた若き騎士たち。クラッドは騎士たちを回復魔法で治癒していった。今は四十人程の集団を形成している。
「大変よ。聖女候補の修道女エリスが攫われたそうなの。攫ったのは女勇者のビアンカですって」
エリス。俺の幼馴染だ。クソッ、ビアンカの奴め、俺の親友のエリスに何をするつもりだ!
「クラッド」
「ああ、レイカ。みんなエリスを助けに向かう。すまないがついてきてくれ」
みんなが返事をする。俺はお気に入りの聖剣を手に取った。ビアンカの顔が浮かぶ。なぜか口元が綻ぶ。何だ、これは……。喜び? そうか、俺はあの女に復讐しなくちゃいけないんだ……!