表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/5

2、親友に奪われた婚約者

 実家の豪邸を叩き出されると金髪のイケメンと幼馴染の女が俺を待っていた。リスカ。俺の従姉妹で優しい性格の美少女だ。そして俺の婚約者でもある。


「リスカはお前と婚約破棄するそうだ」


 金髪の男がニヤニヤ笑いながら話しかけてきた。嫌な予感がする。


「な、なぜだ……」


「ごめんなさい。クラッド。でも今のクラッドは冒険者でも公爵家の嫡男でもない。ただの無一文よね? そんなので生活できるわけないじゃない。結婚しても生活できないわよ……」


「と、いうことだ」


「てめえ! ランドルフ! お前、リスカに変なことを吹き込んだな?」


「おっと暴力は良くないなぁー。落ち着けよ。君はビアンカにも御父上にも見捨てられた。ま、この町にもいられんだろうさ。クックック。無能な君に公爵家の跡取りなどふさわしくない。早くこの町を出ていきたまえ!」


 俺は握りこぶしを握る。ランドルフはいい奴だ。親友だと思っていたのに……。


「もういい。出ていく」


「ああ、出ていきまえ。リスカは僕が幸せにするよ」


 ランドルフの意地の悪い声が聞こえる。俺は足を速めた。









 その頃の王城。第四王女ユーフェミリは玉座の間で怒りを(あらわ)にしていた。


「お父様。クラッドは貴族の均衡を保っていた象徴でした。クラッドがいなければ、貴族の均衡が保てませんわ!」


 美しい王女は大声で力説する。王は黒い顎髭をしごいた。


「そうだな……クラッドの父親も何を考えているのだ……クラッドは貴族たちに、貴族の令嬢たちにも人望の厚い男だ。ユーフェミリもクラッドを信用している……」


「はい。彼こそは大賢者の再来と思っています。クラッドの薬草調合は素晴らしいですわ。私も政務での疲れを癒してもらいました」


「ブラッドストーン公爵……余の弟でありながら時勢の見えぬ男だ。やはりあの悪女の息子であるせいか……」


 王は呆れたように溜め息を吐く。クラッドの実家は早くも没落の(きざ)しを見せていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ