表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛されたかった天使 《Re:日帰りRPG外伝》  作者: フェル


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/7

5.5 半人半龍

 フォスティアが基礎学校に通うようになり、保護者である白龍シェルキスにもある程度の余裕ができてきた。

 そんなある日、シェルキスは知己である黒龍イヴィズアークに誘われ、彼の家を訪ねた。


「よく来てくれた、シェルキス」


 イヴィズアークが出迎える。シェルキスの体色をそのまま黒くしたような容姿だ。


龍間通信(インドラコム)で話せばよいものを、直接会いたいとは珍しいな」

「まあ……おまえに妻を紹介したくもあったしな」


 イヴィズアークは言いながら尻尾の先端を軽く振り回す。


「妻? ……ほう、これは先を越されてしまったか」


 そんな会話をしながら、シェルキスは翼を小さく畳んで門をくぐる。

 部屋の中では、もう1体の黒龍、おそらくイヴィズアークの妻がシェルキスを待ってくれていた。


「あんたが夫の知己かい? わたしはディアーズライド、よろしく」

「ああ、よろしく。シェルキスという」

「さて、挨拶も済んだところで、本題に入ろうか」


 イヴィズアークが切り出した。

 まず、シェルキスが問う。


「愛玩目的で人族の飼育が禁じられたのは、おまえの祖父アーゼンホルトが原因だそうだな」

「ああ。……なんというか、うちのジーさんが『やらかして』くれたよ。俺の生まれる200、いや、300年前か、それぐらいの頃のことらしい」

「何をやらかしたんだ?」


 シェルキスの問いに、イヴィズアークは一瞬目を逸らしてから話し始めた。


「あの頃、ジーさんは人族の雌の幼体……人族の言葉で《少女》と言うんだったか、それを1人飼っててな──」


 アーゼンホルトに飼われていた人族の少女エイナは、ある日、飼主であるアーゼンホルトに求愛、つまり愛の告白をしてきた。

 人族の繁殖について研究していたアーゼンホルトは、自身の好奇心も手伝い、エイナ本人の了承を得た上で、彼女の《求愛》を受け入れた。


「──人族と龍族では体のサイズが違いすぎるからな。体外じゅ」

「待て待て待て待て。なんだそれは、いくらなんでもそんなこと」

「できちまったから仕方ない」


 イヴィズアークも遠い目をしていた。

 少し間を置いて、さらに説明を続ける。

 経緯はどうであれ、実際に両種族の間に子が生まれたことから、人族は《龍族との交配が可能な種族》として認定された。そして、龍族と交配可能な種族は龍族と対等な扱いをすべき、との観点から、人族を家畜・研究対象・愛玩動物などとして扱うことを禁ずる法律も制定された。

 ただし、今までの扱いを急に変えることは現実的でないことや、現状の《在庫》として管理されている人族の個体をどうするのか、という点にも配慮され、法律の制定から500年でペット化の禁止、1000年で龍族の管理下から完全解放(ペット化の禁止から500年)という猶予期間が設定された。


「──って訳だ」

「ふむ……完全解放まで後470年と少しか」

「そうなったら、今の保護区がそのまま《人族の国家》ってことになるだろうな。龍族の勢力圏じゃない空き地もけっこうあるから、人族が領土を拡げることがあるかもしれない」

「随分と思い切った決断だな。この恒星系でハビタブルゾーンにある星はここ、ゼルク・メリスだけだったはずだが……?」

「まあ、辺境の宙域だからな。人族に星1つ与えても構わんってことだろうさ。……というか、この仕事しててそんなことも知らないのかよ」


 イヴィズアークは半眼でシェルキスを睨む。


「悪かったな。この仕事は最近始めたばかりなのだ。……それで、その子……おまえの伯親(ペイブル)はどこで暮らしているのだ?」


 シェルキスがそう聞くと、イヴィズアークの動きが一瞬止まった。そして、ゆっくりと語りだす。


「そうか、ジーさんの子だから、俺の伯親なんだよな。この星から離れて、ジーさんと一緒に住んでるよ。……なんだ、会いたいのか?」

「いや、俺ではなく、俺の初仕事で保護した少女に、できるだけ多くの種族と触れ合わせてやりたい、と思っていてな」

「ふむ……考えておくよ」


 その後、龍たちは雑談に興じ始めた。

  用語解説


 作中に登場した本作独自の用語を解説します。


◆龍間通信(インドラコム)

 インタードラゴン・コミュニケーション。

 龍族の通信魔法を用いて、個体同士の間で音声や映像をやり取りする技術。会話はもちろん、見聞きしたものをビデオのように直接やり取りすることも可能。


◆伯親(ペイブル)

 親の兄弟姉妹を性別を指定せずに言う言葉。

 日本語の伯父、叔父、伯母、叔母を総称することと同義。


     ●


 なお、この小説は【作中世界の言語を日本語に翻訳して書かれている】という体裁で書いているので、「なぜ龍族が英語を使っているのか」のような趣旨の質問は受け付けません。

 龍語で《龍間通信》に相当する意味の言葉が、日本語(外来語を含む)ではインタードラゴン・コミュニケーションに相当する、とご理解ください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ