『悪魔神』
短めです。
「すまないな、破壊の捕食者。俺が知っているお前のスキルの情報はここまでだ」
フランメが言う。
「破壊の捕食者?ああ、そんな事を言っていたな。しかし、捕食者などもう私の敵では無いのだよ」
ソロモスが言う。
「この体を支配したことにより、『水龍の捕食者』も私の制限下にある」
ソロモスが言うと、フランメの赤い目が、更に朱くなる。
「おいソロモス、いい加減にしねぇと俺も本気を出すぜぇ」
フランメが手を握ると、辺り一面に炎が広がる。
「顕現せよ、灼熱剣フェブレノン」
炎が段々と剣のシルエットを型取り、一振りの魔剣が顕現した。
「灼熱剣如きで、俺が死ぬわけなかろう」
「貴様の水如き、このフランメ・ファイアーが蒸発させてやる」
そう言うと、フランメは剣を構えて言った。
「暗闇魔術《獄炎発火》」
赤く染まる炎の円がそこに描かれる。
そして、その炎の円に灼熱剣を突き刺した。
「獄炎灼熱剣フェブフラン、発火ー紅蓮ー」
灼熱剣が《獄炎発火》と融合し、その剣をソロモスに向けると、剣の周りに炎の球が5つほど出現し、全ての球がソロモスに向かう。
「言った筈だ、灼熱剣如きで俺は死なぬと」
全ての火球が着弾したが、ソロモスには擦り傷すら付けられていない。
「私が200年の時を費やし、開発した魔術と水龍の捕食者を融合させた。最早貴様らに、俺は止められぬ」
「何を言っている....悪魔....」
「私は悪魔のまま、神へと戻るのだ」
ソロモスの周りに、黒き水と青き水が現れソロモスを包み込む。
「『禁断の捕食者 〜神類転生〜』」
やがて水は消え、1人の神が現れる。
「我こそは【悪魔神】トイロモス。悪魔と神を超越した存在なり」
俺に出来るだろうか。
いや、やるしかない。奴を倒すためにはやるしかない。
「暗闇魔術《獄炎発火》」
俺の目の前に炎の円が現れる。
「何っ、フランメの魔術を....。そもそも暗闇魔術は悪魔にしか....しかも《獄炎発火》は悪魔フランメにしか使えぬ筈....」
俺は炎の円に迅殲剣を突き刺す。
「獄炎魔剣ゲシュタルト」
炎の円の術式により、獄炎魔剣となった迅殲剣に俺は手をかざす。
すると獄炎魔剣に禍々しい闇が広がる。
「『破壊の捕食者 〜神物獄炎処刑〜』」
俺が獄炎魔剣を振ると、黒い炎が現れトイロモスを包み込む。
そもそも神物処刑は神を滅ぼすための技のため、エイルさんの体は傷つけない筈だ。
「何をするかと思ったら、雑魚目が」
トイロモスは大量の水を出し、黒い炎を消していた。
「言っただろう、私はもうお前らには止められぬと」
トイロモスは俺に手をかざして言った。
「神の名を持って命じる。その身を焦がせ」
獄炎魔剣に纏っている黒い炎が、俺の身を焼き始めた。