『夢』
ーーー教会に行く前日の夜、俺は夢を見ていたーーー
「くっ....この俺に傷を付けるとは....」
金色の髪に金色の瞳、背中に翼の生えた神々しい光を放っている男が言った。
「神よ、貴様のせいで地上がどんな事になっているのか知っているか?」
黒い髪に赤く染まった目、黒いローブのような物を着ている男が言った。
「そんな事はどうでも良い!問題は何故、人間風情が俺に傷を付けることが出来たのかにあるのだっ!ありえない!こんな事はあり得てはならないのだっ!」
神と呼ばれた男が言った。
「どうでも良いだと?そんな事を言っているからいつまで経っても貴様は弱いのだ」
「神である俺が弱いだとっ!そんなことはあり得ないのだよ。君が人間だから責めてもの情けで力を抜いていたのだ。あぁそうだとも、私はまだ全力では....ぐふっっっ....!」
黒いローブの男の腕が神と呼ばれていた男の腹に突き刺さっていた。
「全力を出していなかった....か。一体いつになったらお前の本気を見れるのだろうな?」
「全知全能の神の名を持って命じる!全ての神よ、この男を粛清せよ!」
そう神が言うが何も起こらない。
「はぁつまらん、つまらんぞ神よ。所詮この程度か....」
そう黒いローブの男が言う。
「くっこの愚か者め....がはっ....」
「『破壊の捕食者 〜神物処刑〜』」
黒いローブの男がそう言うと、神と呼ばれていた男は姿を消した。
「本当に神はもう滅ぼして良かったのですか?」
緑に光っている目、赤い髪の杖を持った男がローブの男に聞く。
「どうせ、奴は蘇る。いくら破壊の捕食者と言えど、魔術より少しだけ奴に擦り傷を負わさせられるぐらいだ。」
そうローブの男が答える。
「いや、素晴らしい!素晴らしいです!あの全知全能の神に傷をつけるとはっ!しかしっ、しかしですね、その程度では駄目なのです。貴方は敵に対しても甘すぎる。そんな事だから、あの神もこの私もいつまで経っても滅ぼせないのです。残念、残念ですね。貴方ならあの神を滅ぼしてくれると思ったのですが....失望、失望しましたよ。まぁ当たり前ですか。私、悪魔エルサムでさえ貴方は滅ぼせないのですから。いえいえいえいえ、別に気にすることはないのですよ!」
突如現れた黒いマントに銀色の仮面をしている悪魔が言った。
「相変わらず、独り言をペラペラ喋る男だ。そんなに滅ぼされたいのか?」
黒いローブの男は、先程同様目を赤く光らせ悪魔を眺めた。
「ええ、滅ぼせるものなら滅ぼしていただきたいものです。貴方には無理ですがねー。あっ、勿論私は貴方を滅ぼせますよ!」
そう悪魔が言う。
すると赤い髪で、杖を持っている男が言った。
「ほう我が君を滅ぼす....か、面白いことを言うな」
赤い髪の男に緑色の膨大な量の魔力が集まり始める。
「下がっていろ。こんな雑魚、俺1人で十分だ」
「御意」
黒いローブの男がそう言うと、黒い魔力が彼に集まり始めた。
黒いローブの男の正体とは....