日常 〜前編〜
初っ端から胸糞な描写が御座いますのでご注意ください。
僕達は、母に鼻からスイカを入れるようだかなんだか、そういうような痛みで僕らを産んだと誇らしげに言っていた。
そんな辛い思いをして僕らは産まれてくる必要性があったのだろうか。
本日晴天·····だが、安定して気怠い朝だ。
アラームを止めるためにスマホを億劫だが手に取り、止めた。
ついでにRAINをタップすると未読1件。
幼なじみの霧崎 夏鈴からだ。
こいつはどんな時も僕を支えてくれたが·····、友人と呼べるかはまた別だ。
毎朝一通RAINが来るのも僕の日常だ。
RAINを気だるげな気持ちで開くと
『助けてあげて!』
の一文が目に飛び込んだ。
僕は·····何故だろう。
ベトベトとした気持の悪い汗を
ブツブツとした気持ち悪い鳥肌に垂らし、ベッドにスマホを投げつけて身支度をこなした。
心配、不安、恐怖·····。
色んな感情で嗚咽を堪えるのに必死だった。
ーーなんでだっけ?
そう思いながらも
体は既に部屋を飛び出し、通学路を全力で駆けながら夏鈴の姿を探した。
「ーッ!優也!!」
聞き慣れた声がボロい公園の看板裏から聞こえた。
·····夏鈴だ·····。
走ったからかな?大粒の汗に、朝から全力疾走して来た意味が·····
ふと夏鈴の顔を覗き込むと、青白い顔で小刻みに震えながら僕の名前をもう一度呼んだ。
夏鈴の視線の先には
ランドセル·····小学生が5人·····。
男の子4人が女の子を輪の中に入れて『かごめかごめ』をして遊んでいるだけだった。
「「「「後ろの正面だーぁれ?♪」」」」
回っている男の子たちは楽しそうだが、目を凝らすと女の子の様子に違和感を覚えた。
その時、「お"ぇ"っ!!」と夏鈴が嗚咽を漏らし
僕は少々心配な視線と夏鈴の背中に手を添えて視線を子供たちの元に目線を戻した。
女の子が震えた声で口を開く。
「··········と、·····と、トーマくん·····」
はっずれー!!とゲラゲラ笑い出す男の子たち。
顔面蒼白にして後退りをする女の子。
ただの遊びではない、と察し止めに入ろうとした僕に
夏鈴は僕の制服のズボンを強く掴んだ。
「はーい!!罰ゲーム〜!!」
1人の男の子の一言で男の子2人は女の子を押さえ込み
女の子は震え、泣き、か細い声で
「たすけ·····」と、開いた口をガっと1人の男の子が掴み、広げ
もう1人の男の子は慣れた手つきでポケットからミミズを1匹取り出し女の子の口に投げ入れ
口を無理矢理開けていた少年と共に口を抑え·····そして·····少女の抵抗は人形の如く収まり、そしてきっと〝ソレ〟を飲み込んだのだろう。
「うっわ!くっさ!コイツお漏らししやがった!!」
「写メ撮ろーぜー!!」
「これ、イジメじゃなくて罰ゲームだし俺たちなーんも悪くないもんな!」
「そう、ゲーム、ゲーム♪」
そんな会話をしている少年らを見ていると、僕に生暖かい汚臭がする液体が足元にびちゃり、びちゃりとかかった。
「ご、ごめ·····うっ·····」
夏鈴は泣きながら僕のズボンに嘔吐してしまったことを詫びていた。
全く、と微笑み頭を撫でながら僕は優しく
「この程度ですんでよかったじゃないか」
と、微笑んで見せたが
渋い顔で夏鈴は「そ、そうだね」と下を向きながら呟いていた。
後ろでは主婦達が遠目で子供たちをみてヒソヒソと話している。
ーー神様、いらっしゃいますか。
みていらっしゃいますか?
どうして、こんな残酷な世界を創造されたのですか?
どうして、僕達は被害者で、加害者の日常を過ごすのが当たり前なのですか?
こんな日々が続くならーーーーお願いします。
僕の願いを叶えてください。
僕はそのまま、何かを思い出して
微笑みながら涙を流した。
そして、男の子らの笑い声が
女の子の泣き声が
おばさんたちの嫌味ったらしい声が
夏鈴の辛そうな表情が
僕の心の中の訳の分からない感情が沸々と込み上げる感じがした。
ーーねぇ、夏鈴。
なんで僕に助けを求めたのに
助けに行かせてくれなかったんだい?




