チャンバラ
「はい、お疲れ様でした。クエスト達成ですよ」
「ありがとうございます。あと手持ちの物を売りたいんですけどどこがいいとかある?」
「それならギルドの買取所使うといいわよ。そこなら持ち込んだものに関係なく買い取ってくれるわ」
「ほかのお店って違うの?」
「そうよ、例えば革細工士の店では革系、鍛冶屋だと鉄鉱石とかの鉱石系ね。そういった具合で使わない素材は買い取ってくれないのよ」
「たしかにそうだね。それじゃギルドの買取所に行ってきます」
そう言って私はギルドの受付から移動した。
たしかにさっきのギルドの人の話は最もだ。使わない素材をわざわざ買取はしないだろう。普段やってるゲームではそういったとこまで気にされていない。なのでそう言うとことを考えるとこのゲームは予想以上にしっかりしているようだ。そう思いつつギルド備え付けの買取所へ行き手持ちのラビットの素材を全て売ることにした。
アイテムを売ったあと再びギルドの受付へと戻ることにする。受付にはさっき対応してくれたお姉さんがいたので聞いてみることにした。
「お姉さんちょっといい」
「いいわよ、何かな」
「まずは、お姉さんの名前教えてもらってもいいですか?私は赤名です。」
「ご丁寧にありがとうね。私はククリって言います。宜しくね」
「はい、よろしくお願いします」
「それで、赤名ちゃんは何か用があったのよね」
「はい、ここら辺にでる魔物の情報欲しくてどこかで手に入らないかな」
「それならすべてのギルドにある資料室がいいわよ。ギルドの資料室には近くの魔物の情報が載ってる資料が置いてあるの。新しい街についた時に利用するといいわ。ちなみにここの資料室はあそこの扉の先よ。利用前後に一声かけてくれればいつでも使ってくれていいからね。その代わり綺麗に使ってね」
「はい、わかりました、それじゃ少しの間利用させてもらいます」
私はククリさんに一声掛けてから資料室へ入っていった。
資料室にはプレイヤーは誰もいななかったが、管理人さんなのかおじいちゃんが一人椅子に座っていた。
「おじいちゃんこんにちは」
「ん?おう、こんにちは。わしはゼクスじゃ。この資料室の管理をしておる」
「私は赤名です。ゼクスおじいちゃん、ここに近場に生息している魔物の本あるって聞いたんだけど」
「おやおや、最近の子には珍しく礼儀正しいもんじゃ。それで近場の魔物の情報ならこの本に書いてあるよ」
「ありがとう。じゃあ少し読ませてもらうね」
「汚さないようにするんじゃよ」
「は~い」
私はゼクスおじいちゃんから本を受け取って適当な椅子に腰掛けた。そのまま、本を開き近場の魔物を確認する。本を開いてみると街の北側から順に記載されているようで順番に確認することにした。
しばらく黙々と本を読んだあと、周囲の魔物の分布状況がわかった。まず北にはしばらく進むと山があり石に擬態する魔物が多いらしい。次に東側だがゴブリンが生息してようで、連携した攻撃をしてくる。さっきまでいた南側は動物系の魔物が多く、バレそうになった犬はウルフという魔物だった。説明を読んでみると案の定匂いによる索敵を得意としているようで、隠密だけだと逃げるのは大変そうなイメージがある。最後に西側こっち側は湿地が広がっておりカエル等の魔物がいる。地図を見てみると湿地の先には海が広がっているみたい。
「さぁて特に予定もないわけだし、適当に全エリア回ってみようかな」
「赤名ちゃんもういいのかい」
「うん、ありがとう」
私はゼクスおじいちゃん礼をいったあと資料室を出た。そのままククリさんに資料室使い終わったことを告げギルドをあとにする。
今日はこのあと外に出る予定もないのでゼロの街を回ることにした。ゼロの街は中央を噴水として東西南北に大通りが伸びており、そこから碁盤目状に通路ができている。路地を含めたすべての通路を探索したらもちろん時間が足りないので、大通りから眺める程度抑えることにした。
(さて、残り3方向どっちに行こうかな)
私は初心者の双剣を取り出し地面に立てたそのまま手を話すと東に倒れる。
「東かまぁ行ってみるかな」
私は特に考えることなく東に向かい歩き始めた。大通りから路地をのぞきながら歩いていると建物も立っていない空間を見つけることができた。その空間に向かう途中に少し3Dの実験をしてみることにした。まず、初期のステータスの状況で壁を蹴りつつ上に上がっていく。だが2回ほど壁を蹴ったところで一気に減速してしまった。
(なるほど、それじゃステータスポイントを7ポイントほど3Dに振って後はAGIに振るかな)
私は手持ちの15ポイントを3DとAGIにそれぞれ振り再度壁を蹴って屋根の上に登れるか試みることにした。その結果AGIが増えたこともあり2回目の壁キックの時点でさっきよりも高い位置にいた。そのまま3回目の壁に足をかけたところで抵抗が生まれる。その抵抗に逆らいつつ無理やりジャンプをして屋根の上に飛び移れた。
「痛、さっきの抵抗なんだったんだろう、しかも体力減ってるし」
屋根の上に飛び移った後は屋根伝いにジャンプしつつ移動していく。さすがに大通りを飛び越えることはできないけど路地ぐらいなら十分に飛び越えることができた。屋根の上を飛ぶのがたのしくてついつい忘れていた空地へと向かうことにした。屋根の上から見ると一箇所だけ空いている場所があるのですぐに見つけることができた。
近くの屋根の上から見てみると公園のようで子供たちが遊んでいる。私はそこへ飛び降りると私を見ていた男の子が反応した。
「おねえちゃん誰」
「驚かせちゃったかな、私は赤名って言うんだ」
「そうなんだ、赤名おねえちゃんも一緒に遊ぼ」
「いいよ、でもほかの子達に聞かなくてもいいの?」
「多分大丈夫。いいよな」
男の子がほかの子達に話しかけると全員から了承の返事が帰ってきた。その返事を受け取ってから何して遊ぶかの話が始まった。その結果、私が腰に剣を差していたことによって、ギルドに登録しているという話になりチャンバラをすることになった。
「何故、こうなった」
チャンバラをすることになったとこまではいい。だがなんで私一人に対し子供達4人が相手になるんだろう。しかもNPC相手だから命を奪うわけにもいかないし。そうしているとチャンバラが始まってしまったた。
チャンバラが始まった初手子供達グループの女の子が最初に動き出した。
「赤名ちゃん手加減しないよ【ウィンドボール】」
「ちょっとチャンバラで魔法って有り?」
そう言いつつ太ももに挿しているナイフを取り出し子供に当たらないように投擲する。投げたナイフがウィンドボールにあたり風をあたりに散らしながら消滅した。その風に煽られて短剣も誰もいない方向へ飛んでいってしまう。
そうしていると最初に話しかけてきた男の子が木の棒を持って殴りかかってくる。そんな男の子に対し前へ前進し手首を掴んで足を払う。そのうちに背後に回っていた落ち着いた様子の男の子が足音を殺して近づいてくる。それ自体は危険察知で気づくことはできたが、背後からの対処は思いつかないので横にとぶことで距離を取る。それを見越していたのか再度女の子からウィンドボールが飛んできた。ウィンドボールはさっきと同じようにナイフを投げ対処したが今回はその後ろから光の玉が飛んできていた。
「い゛」
私はその一言しか言うことができず光の玉にあたってしまった。
「へへ~ん、俺たちの勝ち~」
「人が手加減してあげてたら。まぁ殺すわけにもいかないからしいかたないけど」
「赤名おねえちゃん、これ」
「ありがとう」
ウィンドボールを使ってきた女の子が私が投げたナイフを2本持ってきてくれた。私はナイフを受け取り太ももに戻すことした。ナイフをしまったあと、ログを確認してみると戦闘扱いだったようでレベルが上がっている。それ以外にも新しく格闘術というスキルが覚えられるようなっていた。私がログを確認していると落ち着いた様子の男の子が質問を問いかけてきた。
「なんで、僕が近づいたとき反撃しなかったの?」
「う~ん、たしかにナイフで対応したり蹴りなどで対応は出来たけど怪我させるかもしれなかったからね」
その言葉で最初に声をかけてきた男の子以外は私がみんなを怪我しないように細心の注意を払っていたことを理解できたようだ。そのままみんなで遊んでいるとゲーム世界で夕方となっていた。
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名前:赤名 Lv:4
装備
武器:護身用ナイフ×2
頭:
胴:初心者の服
腕:
足:初心者のスカート
靴:
アクセサリ:
★STR:14
VIT:14
INT:14
MND:14
★AGI:22
DEX:14
LUC:14
★RES:14
★3D:21
スキル
双剣:Lv4、双剣術:Lv1、STR強化:Lv4、AGI強化:Lv4、3D強化:Lv4
投擲:Lv3、罠:Lv1、危険察知:Lv2、認識阻害:Lv3、収納ボックス:Lv3
残りスキルポイント(0)
残りステータスポイント(5)
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