草原
テツさんからの助言にしたがったことによって、特に問題もなく南の草原にたどり着いた。草原はというと、私と同じ初心者装備一式に身を包んだ人たちが我さきにとラビットを狩っていた。その光景を横目に街道を歩き草原の奥へ移動する。移動しているとまだ誰とも交戦状態に入っていないラビットを見つけたので、近くにある石をラビットめがけ投げることにした。
「きゅい!!」
ラビットは私の存在に気づき頭の上のカーソルが緑から赤色へと変わる。そのカーソルを見て魔物の状況を確認できそうだ。多分だけど緑色が誰とも交戦状態にない敵モブ。ここら辺では基本的に緑を狙うことになりそうだ。そして赤色が誰かと交戦中のモブと見ていいだろう。緑と赤の間に一色ありそうだけどそれはその時になればわかる。
「さて、最初の獲物は君だよ」
「きゅい!!」
ラビットが私目掛け突進を仕掛けてくる。その突進を正面から腰に差した初心者の双剣で受けたのだが、受けきれずにはじかれてしまった。それに気をよくしたのかラビットが再度突進を仕掛けてくる。その突進に対し今度は太ももに仕込んだナイフを取り出し受けることにした。今度はさっきと違って受け止めることができた。
「へぇ、装備扱いじゃないとこうなるんだ。今度から気を付けないとな」
そう考えつつ隠密を使い草の中に姿を隠した。その際にナイフを抜きラビットの様子を伺うことにした。ラビットは周囲を経過し見渡しており、頭の上のカーソルは黄色に変わっている。
(なるほど、警戒状態は黄色になるのね。まぁ確認したいのは全部見れたから終わらせるか)
知りたい情報を全て取り終えたので、ラビットの後ろから蹴り上げてから下に潜り込み胸を突き刺した。
「きゅっ!!」
「いろいろ教えてくれてありがとう」
私はラビットにお礼を言ってからナイフをゴリっと捻った。そのままラビットはポリゴンとなって消えた。
ログを確認してみるとうさぎの毛皮というアイテムが落ちたぐらいだった。
「う~ん、やっぱり雑魚は面白くないな。まぁしばらく様子を見てみるか。面白いこともあるかもしれないし」
私はそう考えることにして隠密を使いつつ草むらの中を移動していく。1時間ほど進むと森が見えてくる。それに伴いプレイヤーも少なくなってきている。そして、魔物も1種類増えているようだ。新たに見つけた魔物にばれない様気を配りつつ近くに寄ってみると、犬のような魔物で頭のカーソルも黄色くなっていた。
(犬か、確かに気配にも敏感だろうけど嗅覚も鋭敏っぽいな)
私は後ろ歩きで犬から距離を取った。そうしていると犬のマーカが緑に戻ったので今の距離が索敵可能範囲なんだろう。そのまま森に近すぎないようにしつつラビットをバレる前に狩り続けた。そして討伐数が規定値までいったので町まで戻ることにする。
隠密を使ってラビットを狩り続けたことによって色々とレベルが上がった。まず、レベルが2まで上がり双剣スキルもレベル2まで上がった。双剣術はスキルを使っていないので上がることはなかった。そして各種強化系スキルと隠密は常時発動していたこともあり3レベルまで行っている。あと収納ボックスも気づけば上がっていた。
「さて、ラビット討伐の報告も兼ねてギルドに帰るかな」
「へへ、嬢ちゃん可愛いね」
帰ろうと思ったところで後ろから不穏な声のかけられかたをした。一瞬背筋がゾワゾワっとしたが意を決してふりかえって見ることにした。そこにはニヤニヤと笑った男性が一人立っていた。
「何か用ですか?」
「いや何、今日の儲けを全ておいて言ってもらおうと思ってな」
「あぁ、同業者の人でしたか」
私がポツリとつぶやくと男の顔つきが代わり腰に下げた剣を抜いてくる。それと同時に背筋がひやっとしたので、その感覚に従い後ろに飛ぶ。すると先程までいたところを男が剣でないだところだった。
(なるほど、あのヒヤッとする感覚が危険察知なのかな。それにしてもついてないな。初日からPKに合うなんて。まだ大人しくしていたいのに)
そんなことを考えていたが男の方はそんなこと知ったこっちゃない。そのまま剣を構え私に向け振り下ろしてきた。それをナイフで防ごうとしたが、相手のSTRの方が高いのか軽く飛ばされてしまう。おじさんは更に距離を詰め突きさしてきた。私はその突きを頬をかすらせるようにして躱す。
「へへ、おとなしくしてれば痛い思いをせずに殺してあげるよ」
「ねぇおじさん、この数時間だけで何人殺したの?」
「なんだい、おじさんのやっていることを気にしてくれているのかい。君を最初にとはできなかったのが残念だよ」
「そうなんだ、まぁ、私もダメージ受けたし正当防衛通じるよね」
私はそう言うと隠密を発動させ草むらの中に姿を隠した。男はそれでも私のことを諦めきれずにいるのか当たりの草を手当たり次第に切っている。その様子を確認し、つまらないなと思った。
(このまま逃げれるけど少し実験台になってもらおうか)
念の為にログを確認してみるとレッドプレイヤーと交戦状態に入ったログが追加されていた。そして最初がどうだったかは覚えていないが、おじさんのカーソルは赤色になっていた。でもこれで手を出しても大丈夫だろう。
(まずは武器を初心者の双剣に戻してっと)
ナイフをしまったあと武器を初心者の双剣に戻して男の背後へと回った。そして男の背中めがけナイフを1本投擲した。男は私と同じく危険察知がなんかのスキルを持っているのか寸前のところで気づき剣で撃ち落とされる。そのままナイフを投げたと思われる場所へ走って行っているがそこに私はもういない。私はナイフを投げたあとすぐに斜め前へと移動していた。そして男が私の前を通り過ぎるのを待ち、男が剣をふるっているのを確認後、男の背中に取り付いた。
「な!?」
「おじさんひとつだけアドバイスしてあげる。PKはポーカーフェイスの方がいいよ。そのほうが相手にプレッシャー与えれるから」
「お、お前は一体」
「さようなら。おじさん」
私は首の横から初心者の双剣を突き刺した。その後おじさんの背中から飛び降り初のスキルを使うことにした。
「【ダブルスラッシュ】」
スキル名を発生すると身体が全自動で動き両手に持った剣で横に切りつけるだけという単純なスキルだった。
レッドネームプレイヤーをたおしたのでログを確認してみると
「相手の所持金の半額とランダムでアイテムをひとつ手に入れました」
とログに書かれていたのでPKしたあとに倒された時のデメリットがこれということがわかった。おじさんの話を聞いた限りではPKした時も似たような報酬だったのかな
「それにしても面白くなってきそうだな」
そう考えつつ、ウキウキした気持ちでゼロの街へ戻っていくのだった。
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名前:赤名 Lv:3
装備
武器:護身用ナイフ×2
頭:
胴:初心者の服
腕:
足:初心者のスカート
靴:
アクセサリ:
★STR:13
VIT:13
INT:13
MND:13
★AGI:13
DEX:13
LUC:13
★RES:13
★3D:13
スキル
双剣:Lv3、双剣術:Lv1、STR強化:Lv3、AGI強化:Lv3、3D強化:Lv3
投擲:Lv2、罠:Lv1、危険察知:Lv1、認識阻害:Lv3、収納ボックス:Lv3
残りスキルポイント(0)
残りステータスポイント(15)
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