チュートリアル
「お母さん、今日のお昼一人で先に食べちゃうから」
「はいはい、ゲームやりすぎるんじゃないわよ」
「わかってる」
これは朝私とお母さんが話した内容である。そして今一人で早めの昼食を食べ終わったところだ。そのままトイレ等を済ませてからログインした。昨日寝る前に説明書を再度読んだところ空腹やトイレ等の生理現象で強制ログアウトもあるようだ。その他にもVRマシンに携帯を接続するとゲーム内でリアルのメールも受信できるようで、そのことを親に伝えて何か用があったらメールを送ってもらうようにした。
そして12時になる5分前私はログインした
「さぁ、今日から狩りの始まりだ」
その発声を基としてふたつの生体認証が完了した。そして私の視界が下がる。
「赤名様、お待ちしておりました。プレイ可能時間になる前に確認ですが、チュートリアルはいかがいたしましょう」
「受けます。VR自体は初めてなので出来るかぎり体慣らしたいので」
「わかりました。それでは時間までもう少々お待ちください」
「はい。それじゃ少し体慣らしてます」
「そこまでできることも多くないですがいいですよ」
「ありがとうございます」
私はVRの体を慣らすために簡単に準備運動を開始した。そうしていると時間が経過し12時となる。
「赤名様。時刻になりましたのでチュートリアルフィールドへ転移します」
「はい」
私が答えると視界がぐにゃりと歪む。視界がもどると草原の真ん中に放り出されていた。
辺りを見渡してみても特になにもない。しばらく待っていると私の正面に黒のゴスロリドレスを着た私と同じぐらいの背丈の女の子が姿を現した。
「今日初めてのお客さんね。私はAI-96。クロと呼んでちょうだい」
「宜しくねクロちゃん」
「私とあなたって同年代だと思うんだけど。まぁいいか。これからチュートリアルをはじめるわよ」
「まず、戦闘から」
そうクロが宣言し、パチンと指を鳴らすと私の目の前に青いぷよぷよした魔物が姿を現した。その魔物は草を食べているだけで人畜無害そうに見える。
「最初の相手はスライムよ。そこまで強くないから頑張って倒してちょうだい」
そう言われたが装備もしていないのでどう攻撃しようかと考えつつ周りを見渡した。周囲を見てみると小石や木の棒が落ちているのが確認できる。
私は試しに落ちている小石を手に持ちスライムにぶつけた。するとキラキラと光を発しながらスライムは消えていった。
「弱っ」
「当たり前よ。倒すという感覚を感じてもらうだけだし。それにまともに装備もしていない以上実際のパラメータのスライムに勝てるわけないじゃない」
「それじゃ、最初に装備から教えてくれても」
「忘れてただけよ」
「そんな~」
私の発言も虚しくチュートリアルは進んでいった。
「まず、メニューと唱えるかそう考えてみて」
「分かった、メニュー」
私はクロに言われたとおりメニューと発言した。すると私の目の前にメニュー画面が表示される。そこにはステータスやアイテム、ヘルプ等色々な項目があった。その項目をクロの説明通りに操作していく。
「無事開けたようね。まず、ステータスを開いてみなさい。現状、すべてのステータスが11で固定されているはずよ」
「そうだね、全て11になってるね。一番下のステータスポイントって何?」
「ステータスポイントはレベルアップ時に5ポイント入るわ。他にも特定のタイミングでボーナスポイントを受け取れるわよ。後で確認するけど他にもスキルポイントというのがあるのよ。スキルポイントはスキルを習得する時に使うんだけど、取得するにはスキルレベルを5の倍数まで上げることが必要ね」
「ステータスポイントの使い道は?」
「それはステータスポイントっていう名前のとおりステータス横に★がついたステータスを1ポイントにつき1あげられるのよ」
「なるほど。それじゃ次はスキルを見てみようかな」
私はそう言ってスキルの項目を確認してみた。スキルの項目を押すと昨日選択したスキルを確認することができた。その中で投擲のスキルだけレベルが2と表示されていた。スキルポイントは0ポイントのままだったけど。
「投擲のレベルが2になってるのはさっきの石で倒したのが投擲扱いになったからかな」
「えぇ、そのとおり。それじゃアイテムを確認してみて」
「は~い、どれどれ、いくつか装備が入ってるね。後は謎の粘液?さっきのスライムのドロップかな」
「えぇ、そうよ。ドロップはログを確認してくれれば確認できるわ」
クロにそう言われて右下に出ているログを確認するとスライムとのリザルトが表示されていた。アイテム欄のドロップ品に謎の粘液と出ている。ほかのアイテムは初心者系一式のようですべての装備の頭に初心者の○○と書かれていた。
「装備を確認したようね。このチュートリアル受ける受けないにかかわらず全員に初心者の防具一式と武器を一つ支給していあるの。武器は最初に選んだ武器スキルと同じにしているわ。それじゃ、装備の仕方だけど、アイテムを選択して取り出しを押すとアイテムが出てくるの。それを実際に装着することで装備ができるよ。他にもメニュー画面にある装備項目から装備ができるわね。まぁ主にこの方法での装備になるだろうけど」
クロにそう説明されたので、武器は実際に出して装備し服はメニューから装備する。都合が良かったのが女性の装備が初心者のミニスカートかズボンを選べたことで私は膝丈ほどのスカートを選択した。
(後でスパッツ探さないとな。後この初期武器長い)
そう考えつつも2本の剣を太ももに装着した。それによってギリギリパッと見では武器を付けていないように見える。
「へぇ、面白いところに付けるのね」
「外見から見えない方が使いやすいからね」
「不思議な人ね。多くの人は取り回しのしやすさから腰や大きい武器だと背中なんだけど」
「まぁ、私は普通のプレイスタイルじゃないし」
「そう、それじゃどういうスタイルなの?生産職?」
「戦い方としては暗殺職に近いかな。それと生産は私に合わないね」
「へぇ、まぁ今後も観察させてもらうわ。それじぁ、再度魔物と戦いましょうか」
「おねがい」
それだけ言うと目の前に再度スライムが現れた。今度のスライムは私を見つけるとじわじわと近付いてくる。私は右の太ももに装備した剣を抜き取りスライムを切りつける。それによって少しはスライムにダメージを当てることができた。だがスライムを倒しきることができなかった。
スライムは私の方に飛びかかってきたが、スライムにあわせるように双剣を振るう。それによってスライムを倒すことができたが、飛び散ったスライムの粘液が私の腕にかかる。
「熱っ」
「体力見てみなさい」
私はクロに言われたとおり自分の体力を見てみると少し減っていた。ということはこれも攻撃と認識されているということだ。ということはだ、モンスターを倒してはい終わりというわけじゃないということを意味する。例えば、苦し紛れにモンスターが投げた岩がモンスターを倒したあとに降ってきて潰されるということも考えれるということだ。
「へぇ、面白そうじゃない」
「どう?赤名。この世界は楽しめそう?」
「そうね、今までのゲームよりは楽しめそうだよ」
「それは良かったわ。それじゃあなたの頑張りを期待しているわ」
「ちょっとクロちゃん。スキルの使い方とか教えてもらってないんだけど」
「あぁ、忘れてたわ」
「おい、こら」
「まぁ、いいじゃないの。スキルの使い方は思考による発動と発声による発動の2種類よ。まぁそこはメニュー表示と同じだから楽でしょ」
「じゃぁ、生産とかは?」
「どうせあなた生産やらないんだからいいでしょ。気になるなら共同生産施設利用するときの説明を見れば事足りるわよ。それとどんなプレイをするにしても冒険者ギルドには登録しておきなさいね。それじゃいってらっしゃい」
そう言われてしまった。最後は怒涛の勢いで放り出されてしまった感がすごい。だけど、最低限のことは教えてくれたのでこのOSOを楽しんでみようかなと思うのだった。
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名前:赤名 Lv:1
装備
武器:初心者の双剣
頭:
胴:初心者の服
腕:
足:初心者のスカート
靴:
アクセサリ:
★STR:11
VIT:11
INT:11
MND:11
★AGI:11
DEX:11
LUC:11
★RES:11
★3D:11
スキル
双剣:Lv1、双剣術:Lv1、STR強化:Lv1、AGI強化:Lv1、3D強化:Lv1
投擲:Lv2、罠:Lv1、危険察知:Lv1、認識阻害:Lv1、収納ボックス:Lv1
残りスキルポイント(0)
残りステータスポイント(0)
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