MMOでの赤名
今週より新作の投稿開始です。
「双子の異世界旅行」諸共よろしくお願いします。
「な~な~。そろそろお昼休み終わっちゃうよ」
「うん、もうちょっとだから」
「また昼休みの間、ゲームガールで縛りプレイしてるの?」
「もちろんだよ。最近のゲームは簡単だからね」
背丈に限らず全体的に発育の良い友人の凛に返事を返しながら、私は姫を助けるために一人魔界に潜り込む騎士のゲームをやっている。このゲームはアーケード版のリメイクとして携帯用ゲーム機であるゲームガールに移植された。難易度の高いゲームだけど今回はさらにオワタ式。所謂1発もダメージを受けれない状況でプレイしていた。そんな状況でも地道に進めていきなんとか折り返しまで到着し、ゲーム機をスリープモードにして凛の相手をすることにした。
「どう?きりのいいとこまでいった?」
「うん、なんとか折り返し」
「それにしても奈々ってレトロゲーム好きだよね」
「そうでもないよ。MMOもやってるし。それでどうかしたの?」
凛が何度か私の名前を呼んだから私の名前はわかると思う。私、赤羽奈々は難易度の高いゲームが好きな平均より小柄な中学生だ。凛もゲームはやるが最近のソフトがメインとなる。そんな凛が私のゲーム中に話しかけてきたのだから何かあると考えてしまった。だが、その思いも当たっていたようだ。
「MMOって言っても奈々って対人メインじゃん」
「だって仕方ないじゃない。魔物の行動パターンって同じだからそのうち飽きるんだよ」
「ふふふ、そんな奈々に朗報だよ。実はロキが新作ゲームのテスター募集してるんだって」
「ロキってあのロキ?」
「そう。どう思う?」
「どう思うって言ってもね。サイト見てみたいんだけど。情報ある?」
キーンコーンカーンコーン
ロキエンタープライス。この会社は基本的に社内でテストを完了させることで有名な会社だ。そんな会社がベータテストを応募しているというのだから気にならないわけがない。そこで凛に詳しく聞いてみたところで残念なことにチャイムが鳴ってしまう。そのまま5時間目の授業が始まってしまったのだった。
5時間目と6時間目は凛の言っていたゲームが気になってしまい授業に集中することができなかったが、ノートだけは取れたので後で復習しよう。
そんなこんなで今日の授業が終わり、凛と一緒に帰ることにした。その時に詳しく昼休みの話を聞くことにした。
「なんでも、世界初の技術を使ったからそのテストに未成年者と成人のメンタル情報取りたいんだって」
「たしかに、そういうことなら内部だけでは難しいね。それでその新しい技術っていうのは?」
「それがなんとVRだって」
「ほう、それはなかなか面白そう」
「この反応は最近のでは初めてのことかもね」
その後、ゲーム名を聞いたあとはお互いがやっているゲームについて情報交換してから別れた。
今回ロキが募集したゲームは「origin status online」というゲームで現状ゲーム名とVRMMOと言うことしか公開されていない。私はこのゲームを記憶にとどめてから家にたどり着いた。
「origin status onlineっとどれどれ」
私は帰ったあとすぐに普段MMOをやっているPCを立ち上げてからゲーム名で調べてみた。すると時間をかけずにテスター募集のページを見つけることができた。
「あぁ、未成年は親の了承が条件か。夜にでも相談してみようかなこれは。この後はやることもないし今日も狩りに行くか」
テスターの募集は一旦置いておき、エネミーハンターというMMOを起動する。このゲームはゲーム内の設定で許可を出しているとボイスチャットができ、容易に他のゲームプレイヤーと話すことができる。
今回は、嬉しい情報もあったので敵対者に対してボイスチャットを「on」に切り替えてからゲームを起動した。起動中に、掲示板を見てみると今はちょうど高難易度のパーティ推奨のボスが出現しているようだ。
「さて、今日は森の方か」
ゲームが起動したので私はログインし、森へ向けて移動を開始した。森に到着すると邪魔にならない位置から双眼鏡で討伐の様子を伺った。しばらく様子を見ているとボスモンスターが足を引きずり逃げ出したのでそのあとを追っていく。
「そろそろかな。討伐や捕獲前にあの人たちにバレたらまずいんだよね」
私は近場に来ていたザコ敵が声をあげる前に首を短刀で切り落とした。全く最近のゲームは決まった動作しか取らないし、昔みたいに縛りの要素も少ないからあまり面白くない。それに攻略組と言っている連中も同じようなパーティ編成をしているので正直つまらない。もう少し自由性を持って欲しいものだ。
そんなことを考えていると、ボスモンスターの討伐も終わったようだ。今回の標的は遠距離2人に守備の要の槍が1人、小回りの効くオーソドックスな剣と盾の両もちが1人だ。
「最近の中ではまだ挑戦的なパーティかな。まぁそこまで関係ないんだけど」
そう呟きながら隠密系のスキルを発動させ今回の標的へと近づいた。
「よし、ボスは倒せたな。あとはレッドネームの連中に気をつけつつ帰るぞ」
「そうだね。この状況で怖いのはレッドネームに素材奪われることだよね」
今回の標的へ近づくと槍と片手剣を持った二人のそんな会話が聞こえてきた。いつもなら反応はしないのだが今回は、新しいゲームの件もあるから気分がいい。声をかけてあげてもいいかな。
「そんなこと言わないでよ、同じプレイヤーなんだから」
「へ!?」
「まず1人」
私は声をかけると同時に、弓を持ったプレイヤーの心臓を後ろから一突きにした。それによって一人が脱落する。このゲームは面倒なことに相手を全部倒したタイミングで相手の持っている手持ちからランダムで数個手に入れることができる。正直ボスモンスターを倒す方が効率がいいのだが、私は楽しさ重視でプレイをしている。
「畜生、運が悪い。よりによって赤名か」
「赤名ってレッドネームってことですか」
「いや、違うレッドネームの中でもさらに技術が高いのがこいつだ」
そう彼らの言うとおり私のプレイヤーネームは名前から文字って赤名という名前で基本的なゲームはやっている。基本的にPKをメインにしているからちょうどいいっちゃ、ちょうどいいんだけど。
「そんな褒めてもなにもないですよ」
私は遠距離武器から順にプレイヤーを倒しつづける。そして最後の一人を倒す頃には夕飯が近くなっていたのでドロップを確認したあと安全地帯でログアウトすることにした。
「ふ~、運がいいことにレアドロップもあったみたいだし。それなりに楽しめたかな」
そんなことを考えていると携帯にメッセージが入ってくる。メッセージを見てみると凛からでさっきのPKが既に掲示板で話題になっているということだった。それに対し「レアドロップうまし」と返信してあげた。
「ご飯だよ~」
「は~い」
凛とメッセージで話していると母さんが夕飯を作り終えたようで、1階に降りて行く。
「母さん、ゲームのテスターに応募したいんだけどいい?」
「いいけど珍しいね。奈々が最近のに興味を持つなんて。どんなゲーム?」
「なんか、初のVRMMOっていうことでテスター募集してるんだって」
私は母さんに簡単に説明をすると了承してくれたので、食後に早速テスターに応募することにした。応募を終えると両親に確認の電話をするとのことだったのでそのことを母さんに伝えてからお風呂に入ることにした。
今日のPKは美味しかったので今日はこのぐらいにして寝ることにした。