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未知ナル世界カラ愛ヲコメテ  作者: ハルハールル
2/2

ミスター・J その1

「ミスター・Jの噂のことだよ」


 俺はガガーリンに、学校で聞いた噂について話した。

 ミスター・Jとは、最近出没している、不審人物のことだ。身長が2m近くあり、ベージュのトレンチコートにハット、サングラスに大きなマスクを身に着けた、完全なる不審者だ。

 だが、噂になる理由はここからなのである。

 彼は出会った相手に対して名乗るそうだが、その名前が聞き取れない。かろうじてそれが、Jで始まることだけはわかった。そこから、ミスター・Jと呼ばれるようになったらしい。

 彼は、名乗った後に、相手の持ち物を指さして、「これとそれを交換してくれないかい?」と言い、緑色の玉をみせてくるようだ。

 断ると、「それは残念だ」と言って、どこかへ行ってしまうという。

 逆に、受け入れると、「ありがとう、ありがとう」と、何度も礼を言いながら、物を交換して去っていく。

 そのあとを追いかけても、目を離した隙にいなくなってしまうらしい。


「友達がさ、友達の友達から聞いたんだってさ」

「典型的な都市伝説の又聞きじゃねぇか」

「て思うだろ、でも見てみろよ、これ」


 そういって、俺はスマホの画像アプリを開いて、とある画像を見せた。

 夕暮れの町の画像だ。


「これがなんだってんだよ」

「ほらここ、ここ」


 訝し気なガガーリンにスマホを突き出し、とある一点を指さす。

 そこには、非常に遠くにではあるが、二人の人物が映っていた。

 サラリーマン風の男性と、それに対面している、全身ベージュコーデの大男であった。


「むむむ、確かに噂通りの背格好だ。でも偶然じゃないのか?いないこたないだろ、こういうやつ」

「そう思うだろ?でも裏がとれてるんだなー、これが。この男の人さ、隣のクラスの奴のお父さんなんだよ。で、その隣のクラスの奴に話を聞いたら」

「ビンゴだったと」

「そういうこと。でさぁ」

「なに」

「このミスター・J、探さね?」

「げぇー、めんどくせーよ。第一なんで探す必要があるんだよ」

「面白そうじゃん」

「ちぇ、報酬は」

「あの新作で」

「よし!乗ったるわ!」


 ちょろいな。


「で、具体的にはどーすんだよ」

「うん、この画像と同じ、夕暮れを狙おうかなと思う」

「それまで結構あるよな。まず家帰って、腹ごしらえとゲームしようぜ!」

「おっけー。腹が減ってはうんぬんかんぬんだしな!」


 思えばこれが、俺たちの謎に満ちた生活の始まりだったのかもしれない。


誤字脱字アドバイス等よろしくお願いいたします。

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