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第1話―初めての狩り

 人類の味方になった元軍事用ロボットのテト。

 テトは心を入れ替えた。

「今まで人を殺してきたけど、もう人を殺したりしない。 絶対人を守ってみせる!」


 既に都会はメトによって一度更地にされており、建物など特に何も見当たらなかった。更地にされたお陰で『自然豊かな草原』になっていた。


 それはそれは、建物という建物が全く見当たらなく、そこはまるで『サバナ』を思い浮かぶ程だった。

 山奥へ入ると、そこには『人間』が2,30人ほど居た。

 しかし、テトがその人間の村に入ろうとすると、怯えられた。それは当然の事だった。


 どんな生物でも、仲間を殺した相手なんか信用出来ない。自分も殺されると思うからだ。


 テトは仕方なく、『大きな木』の影に隠れて、人間の生きる姿を覗くのであった。その木は周りの木より2倍ほど大きくて、かなり目立つ木だった。




 テトは考えた。

「どうしても何か手助けをしてあげたい。でも近くに行くと怯えられる。

 そういえば、『食料』とかあまり無かったな、だったら食料を獲ってきてやろう」


 上を向けば満天の星。テトは山へ食料を獲りに探しに出かけた。


 辺りは真っ暗。ロボットであるテトでないと『何も見えない』ほどだった。

 そこへ突然現れた『イノシシ』は、息を呑むほど大きくて凄い威圧感だった。

 それは、まるで子を守る母のようにも見えた。


 しかし、テトはそんな威圧に負けず、殴って倒した。

 それはもう綺麗な一撃だった。

 突進してきたイノシシを左に避けて、力強く左足を地面に踏み込み、目にもとまらぬ速さでイノシシの横腹を殴った。


 イノシシは木をなぎ倒しながら吹っ飛び、痛みを感じる事すら無く死んだだろう。


 その近くに、『うり坊』が隠れていた。

 殺した『イノシシの子供』だった。

 とても小さくて可愛らしく、目がまんまる。

 さっきの威圧感の凄いイノシシの子供とは思えない程可愛かった。


 しかし、母であるイノシシをテトが殺してしまった。

 その罪悪感は半端ではない。


 ところが、うり坊はそんな事知らずに近寄ってくる。

 キィー!という鳴き声を上げてこっちを見ながら寄ってくる。


 テトはこれ以上見てられなかった。

 うり坊をほっといて、殺した78キロもあるイノシシを担いで村へ持っていった。とても78キロだとは思えないほど軽々イノシシを持つテト。


 そのまま村に入るとまた怯えられるかもしれないので、村の入り口の側に置いといた。テトは後ろからついてくるうり坊に気がついた。


「はぁ、君は一体どこまでついてくるんだ。森に帰りな? ここに居ると人間に食われてしまうぞ?」


 うり坊は全く言うことを聞かない。

 ずーっと涙輝く目でテトを見つめていた。


「か、可愛い……」


 テトは見つめてくる可愛らしいうり坊に負けた。

 それはもう、今までに感じたことのない胸がキュンっと来る感じ。

 嬉しいとか楽しいとか、そういう感情ではなかった。


 こうしてうり坊を見ていると、尚更あの母親のイノシシを殺さないほうが良かったと思うばかりであった。

「あの母もこうして子供に見つめられて、守ってやるという気になっていたのに、私は……いや、違う!私はイノシシを守るのではなく、人間を守るのだ。そう、そういうことにしよう」


 テトはとりあえずうり坊を連れて、いつも休憩している大きな木がある場所まで来た。そこに木の実が沢山あって、それをうり坊に食べさせた。

「そういえば私はこのうり坊の母を殺したんだな、こいつの帰る場所はもう無い。

 はぁ、仕方がない。私が母の代わりになってやろう」


 テトは人間だけではなく、うり坊までも守ることにしたのだ。


「ほら、まだ木の実があるぞ、食べろ。

 おい、食べないと大きくならないぞ?私が居なくなったらどうする?

 そんなに可愛いんだから、生きていけないと私は悲しいぞ?」

 数日経ったテトは完全に親ばかになっていた。


「さてと、そろそろ狩りに行くか」

 テトはイノシシ狩りではなく、『鹿』を狩りに行くことにした。

 私の子に同種族の『イノシシを狩る姿』は見せたくない。

 そう言って、鹿を狩りに行くのであった。


 テトにとっての2回目の狩りだった。

 前回の狩りでは殴って倒した。

 しかし殴って倒すと、内蔵などが破裂し、骨も砕くから後で解体するのが大変。


 だから今度はちゃんと頭を使って、自分の体に搭載されている

『小型ガトリングキャノン』を使うことにした。

 威力は戦車の装甲を貫通するほどの威力で、テトにとっては大した威力ではなかった。


 鹿は案外この山だと道端で遭遇するくらいよく見つけられる。

 イノシシと比べたらまだ見つけやすい。


 そう言っていると、道中に『1匹の鹿』を見つけた。

 その1匹を狙って小型ガトリングキャノンを連射した。

 この小型ガトリングキャノン、レーザー方式な為、反動がない。

 だから確実に鹿を仕留められる。


 『5発』撃った所で様子を見に行った。


 すると、そこには血溜まりしかなく、鹿の姿は無かった。

 そう、鹿はテトの攻撃を受けて、跡形もなく爆散したのだ。


 小型ガトリングキャノンだと、人でも一発当たれば熱で溶けるか爆散する。

 それを無反動で撃てるのだから、恐ろしいものである。

 さらにテトは『攻撃力特化』されている。

 そんな攻撃力特化のテトは、小型ガトリングキャノンでも少し当たっただけで対象物は爆散してしまうのだ。

 唯一の悩みがそれであった。


「もし(テト)とメトの特化してる部分だけ反対だったら、今頃私はメトを止められていたかもしれない。それに私は力なんて要らなかったのに、なんでここまで力を持っているんだろう」


 テトはどんな攻撃を受けても耐えれるメトの体に、少し羨ましいと感じてしまった。



 しかし、爆散してしまった鹿。

 仕方なく次の鹿を求めて歩き始めた。


 新たに鹿を見つけたのは良いが、子連れだった。

 もう子連れを殺すのは嫌だ、母親が無残な姿でやられるなんて、子供は見たくないだろうと思ってテトは放っておくことに。

 子連れの鹿はスタスタと逃げていった。


 その鹿を諦め、別の鹿を探すことに。

 すると、これまた『大きな鹿』が現れた。

 大きさだけでも人間の大人くらいはあるだろう。


 ただ逃げ足は凄く早かった。

 少し見てこちらがちょっと動いただけで、逃げ始めた。


 テトは狼のように追いかけ、楽に眠れるよう『首元を強く殴って』息の根を止めた。

 殴った部分から肉が裂けて、首が落ちた。

 ――強く殴りすぎた。


「こ、これは痛かっただろうな……

 いや仕方がない、人間の為だ。

 あの村の人達に食い物を渡して子をどんどん作ってもらいたい。

 だから私はどんな事をしてでも、途中で止めたりなんてしない。

 それに私はこういうのを何回も見てきた、嫌でも見せられてきた。

 もう慣れているんだ……生物の肉なんて、ただの形にしか過ぎないんだ」


 鹿の首から血が大量に出ているのを見て、仕方なく血抜き作業を少しだけすることに。

 内蔵を手でむしり取り、血を抜いた。

 ただ近くに川が無く、水も無かったので、とりあえずそのまま村に持っていった。


「はぁ、血抜きまでするだなんて、私は一体何をやってるのか……

 血抜きぐらい自分(人間)達にさせないと、これではどんどん私に頼る生活になるかもしれない」


 テトは血抜きの作業が少し荒く『体も小さい』為、上半身が血だらけになった。

「あぁ、上半身が血だらけだ、こんなの初めてだよ。

 人を殺さないと決めてから血まみれになるのは無いと思っていた。

 でもまさかこのような形で血まみれの体になるとはな」


 上半身血まみれになったテトは、そのまま鹿を担いで村に持っていった。

 それでもやはり喜ばれる事はなかった。


 テトは何か違和感を感じた。

「人間は恐怖を感じると怯える。これは確かだ。

 でも、欲しい物を渡されて何も反応がないのは何かがおかしい。

 確かに、私が持ってきているから信用されていないって意味で無反応なのかもしれない。

 だが、それでも何かを感じる。何もないようで何かがある感じが……」


 テトは少し不安になったが、『うり坊』を見て考えるのをやめた。

 気を取り直し、うり坊に餌を与えることに。

「今日は結構歩いたからな、いろんな木の実が取れたぞ! ほら、食え!」


 うり坊は喜んで食べていた。

 テトはうり坊の頭を撫でて、優しく微笑んだ。


 その後テトは木の上に登り、人間の観察をしていた。

 突然、爆発音が大きな崖の上から聞こえた。


 この山には『とても大きな崖』がある。

 高さは240mぐらいだろう。

 大きな崖を登れば、また『別の村』があるのだが、そちらの方から爆発音が聞こえた。

 その音は大きく重たい音で、地面がかなり揺れた。

 それは鳥たちが飛び立つほどだった。


 テトは状況を分析した。

「この時代にこれほどの威力を出せるのは、『メト』しか居ない。

 きっとメトはこちらに向かってきているのだろう。

 あ! ここに住んでいる人達がメトにバレないように、何か対策しないと!」


 テトは元々自分の体に付いてあった人間の姿と生命体を隠す『結界のような装置』を使って、そこの村人たちを隠した。

 もう一度崖の方を見ると、1人の『女の子』が落ちてきてるのが見えた。

 テトは慌てて崖の方にマッハ1で空を飛び、向かった。

~Megの説明~

 攻撃特化とは

 Meg(テトとメト)には攻撃力を特化させる機能と、回復力を特化させる機能が備わっている。


 攻撃力を特化させると、Meg自身の攻撃力が大幅に上昇する。

 『キャノン砲』という武器を作り出す事によって、『地形を変えるほどの威力』を備わっている。

 これは攻撃力特化の場合のみ使える武器である。


 回復力を特化させると、Meg自身が攻撃を受けてもすぐに回復してすぐに戦闘復帰出来る。

 それは、『核爆弾で溶かされてもその場で回復する』くらい強力であった。

 これは回復力特化にしてないともちろん出来ないことであった。


 ちなみに両方を最大まで上げたり下げたりする事は出来ない。

 どちらかを上げればどちらかを下げなければならなかった。


 メトは回復力特化。

 戦争に『1人』で立ち向かった時、主砲を撃たれ穴が空いても、すぐに修復して復帰出来るからだ。

 正直攻撃力が最低でも壊されないかつ十分な攻撃力があったので、戦闘モードでは逆に回復特化にされた。


 テトは攻撃力特化。

 通常モードで、もし『暴走』を起こしてもすぐ止められるようにということで、あえて攻撃力特化にしている。

 逆に強い攻撃を受けるとしばらく動けなくなるのだ。


 ちなみに『ハーフ』というのもあった。

 攻撃力と回復力を半分半分にする。

 ただバランスがそこまで良くなかったらしい。

 どちらかに特化する方がMegとしてのいろんな機能が最大限発揮される。

 というわけで、ハーフは採用されなかった。


 この特化機能は、Meg自身からは変更不可能。

 チーム2151の『リーダー役』にしか変更は出来ない。

 そのリーダーも『殺害』されているので、今後一生変えることは出来ないのだ。




2019年9月18日(水)修正

冒頭の空白・括弧の追加・その他色々手を加えました。

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