2時限目 霊質について
「有魔核生命体」を理解するにあたって、ある程度の基本的な知識が必要なんだ。
今回は、それから授業を始めさせてもらうとしよう。
安心してくれたまえ。
この授業は全行程無料で提供されているものだから、太郎くんに月謝を請求するようなことはしない。
……。
ではまず、物質と霊質についてお話しよう。
物質と言うものが何か知っているよね?
君の体を作ったり、君が座っている椅子やソファを作ったりしているものだ。
詳しくは、メンデレーエフさんの元素周期表を見てみればいいだろう。
水兵りーべー僕の船〜♪
名曲がりシップス・クラーク、閣下スコーチバクロマン♪
フェコニクズンガ、ゲスセーバー♪
なんちって。
さてさて。
「有機生命体」は、代謝……簡単に言えば、生体内で取り入れた物質を元に、必要な成分を合成したり、分解してエネルギーを得ているよね。
その方法は至って簡単で、物を食べることによって行っている。
まあ、食事だね。
私もお肉好きだよ?
そんなわけで「有魔核生命体」も同じように代謝を行うんだ。
そして、彼らの代謝に必要なのは、物質ではなくさっき説明した霊質ってものなんだけど……。
エクトプラズムってわかるかな?
直訳すれば「外の物質」って言う意味になるね。
地球、特に日本では「不思議な現象を起こす、科学で扱うエネルギーとは、また別の意味の、スピリチュアルなオカルトの分野で用いられる意味でのエネルギーのような物質」って感じなのかな。
霊質っていう日本語訳(地球語訳?)は、そこから来ているんだよね。
っと、話がそれた。
さてさて。
そんな霊質だけれど、それがどういったものなのかを説明させてもらいましょう。
霊質っていうのは、まあ物質みたいな括りなものなんだ。
物質は分子でできている。
分子は原子でできていて、原子は電子、陽子、中性子の三種類の素粒子からできている。
それに対して霊質は、妖子(sorce)からできている。
妖子はさらに、二つ以上の魔素(element)からできていて、三種類の素子と呼ばれる粒で構成されている。
それぞれ、魔力子(magi)、霊子(soul)、呪力子(curse)と呼ばれているんだ。
ここまで理解できたかな?
まあ、大雑把に説明しただけだから、なんとなくわかった!っていう程度で大丈夫だよ。
これからわかるから。
……多分ね。
他には霊質とは別に、与形子(eidos)といって「有魔核生命体」が魔法などの「術」と呼ばれる現象を引き起こす際に用いられる非物質というのがあるんだけど、今は覚えてもらわなくても大丈夫です。
……。
そうだね。
結構面倒くさいよね。
私も最初は「うわ、面倒くさい!」ってなりましたよ、ホント。
さて、話題転換といきましょうか。
さっき、私はメンデレーエフの元素周期表を挙げたよね。
実は霊質にも魔素表といって、魔法学会に所属する魔法学者、ジョナサン・レッドフィールドという人が作った表があるんだ。
彼はこの霊質が、一対素子の数が増えるごとに、順番に無属性、火属性、水属性、風属性、地属性、無属性……と属性が変わることに注目し、その表を作り上げた。
これを属性区分と彼は名付け、無属性を「ni」、火属性を「s」、水属性を「u」、風属性を「sy」、地属性を「n」という記号で表した。
そして、素子一対に対して、魔素番号を振り分け、一対のものには一番、二対のものには二番、x対のものにはx番と番号を振り分けた。
例えば一番には無素という魔素が振り分けられている。
魔素の種類を表す記号は三文字のアルファベットで示され、無素の場合はNulと表された。
これによって、魔法学は飛躍的な成長を遂げたんだってさ。
……。
え?つまらない?
まあ、授業はつまらないものだよ。
それに、まだ基礎だし。
これからどんどん発展していって、面白くなってくるんだよ。
……。
おっと、もうこんな時間だ。
それでは、次回は「有魔核生命体」の代表格、ゴブリンについて講義しよう。
うまく進めば、もしかしたら解剖まで行けるかもしれないね!
楽しみだね!
では、また次の授業で。