第4節 テスト前の調整
テストの日までの間、寺嶋さんの計らいで近くのジムに行かせてもらった。
八百長合格は決まっているようだが、テスト自体は受けないといけないためである。
「やっばい、楽しい」
ランニングマシンやベンチプレス、プールで水泳やヨガによる柔軟。
そして、俺が1番ハマったのはピンポンマシン相手の返球ラリーだ。
「すごいな、飛んできた球全て打てているじゃないか」
「机の上に飛んでくるってわかってるんだから、そう難しいことじゃないですよ」
「そうは言っても打ち出す方向も速度もタイミングまでランダムな設定で打ち逃し無しは褒められることだぞ」
マシンの設定はオールランダムにして、難易度は1番上のレベル10だ。
「ただなぁ…打ち返した球は…」
「だから難しいことじゃないって言ってるんですよ」
俺は全ての球を漏らすことなく打ち返すが、飛んでいく方向は完全にノーコン。
卓球の試合ならば相手の圧勝だろう。
「とはいえ、こっちをよそ見しながら返球し続けてるのは驚嘆ものだがな」
「ちゃんとマシンの方まで見えてますから」
小学生の頃から人並み以上に視野が広かった。
完全に背後からでなければ近づく物全て把握できた。
その分、不快な視線などの見たくない物も目に映るのだが。
そしてテスト前の最後のジムの時間が終わった。