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アクアミネスの勇者  作者: 佐倉真稀
第一章~宇佐見編~

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魔法の授業

午後、座学の教室の扉前だ。ざわついた雰囲気。深呼吸して勢い良く扉を開けた。

「みんな揃ってるか?よし。サボったら魔法使いこなせるの遅くなるってわかってるんだな。」

俺は教壇のある黒板前に上がる。この部屋は大学の教室のような、机と椅子の並びになっている。俺は手ぶらのまま、教壇前に立つ。


「いや―照れるね!オタクの大学生だった俺が人前で授業とか。プレゼンの授業はまだ受けてなかったんだけどね。予習になるかな。ちなみに教職課程は取ってません。さて、オタクのあこがれ異世界転移なんだが、俺達は女神の加護を受けている。ギフトももらっている。それはこの世界の人たちが手にするには破格すぎる才能だ。スキルもかなり頑張って習得しなければならないのがこの世界の住人だ。俺達は女神に呼ばれた。その時に女神はそれぞれの個性に合わせたスキルや加護を俺達につけている。それが、”彷徨い人”であり、”勇者の卵”だ。俺たち全員、”勇者の卵”であるのは間違いない。」

なに言ってんの?という顔をしているのは何故か後半組だ。前半組は唐突に始まった俺の演説をどう受け止めていいのかわからない顔をしている。

「スキル鑑定を受けたと思う。自分の力は自覚しているはずだ。それを踏まえたうえで、自分はどういう方向で力を伸ばすか。それが重要になってくる。俺が視たところ、魔力のない者はいないし、魔法が使えない者もいないと思う。そこで、まずは魔法とは何か、というところから説明する。」

俺は、最前列の向かって右側に座るしんちゃんの前に行き、”アイテムボックス”からテキストを全員分机の上に出した。


「えええ!?どこから出したのラビちゃん先輩!?」

俺はにやっと笑って。

「アイテムボックスからに決まってんだろ?」

とウィンクした。…不評だった。

「え!?どういうこと!?この世界、そんな魔道具なかったよね!?」

ガッキ―が突っ込んでくる。いいからはよ回せって。

「企業秘密です。授業をちゃんと聞いたら教えてやるよ。」

俺は壇上に戻った。

「う、わー上から目線だ!!」

ハジメが騒いだ。よし、お前達3人と坂上のグループをパーティーにする。決めた。

「テキスト行きわたったか?」

これは俺が初級魔法の魔法陣と仕組み、詠唱のコツなんかを、図書室にあった魔道書から抜き出して噛み砕いた形でまとめたものだ。マルティナが使った教材も参考にした。


「さて、魔法と言ったら厨二病、ではなく、30までど…じゃなく。ラノベに欠かせない要素だな。あ、ラノベをわかんない方はスルーで。ゲームでもおなじみの魔法。この魔法はこの世界の人は誰でも使える。無属性と呼ばれる属性は誰でも持っているからだ。この無属性に属しているのが生活魔法と呼ばれる便利魔法。俺は”浄化(クリーン)”をよく使う。水を出したり、火をおこしたり。それくらいなら息をするレベルで使いこなす。この世界の住人は、だ。」

俺は一旦言葉を切る。


「だが、俺達はどうだろう?魔法は身近なものじゃない。見たこともない。魔力はあるかもしれないが、感じたことはない。その状態で、魔法を使えるわけがない。ではどうするか?一から訓練するしかない。資格試験や受験と一緒だ。魔力自体は全員感じることができていると聞いてるんだけど、もう一度基礎からやろう。」

そう言って、俺は掌を上にして肩の位置に掲げた。


「わが道を照らせ、”光球(ライト)”」

掌の上に光の球が現れる。丸い光の塊が、掌サイズで浮かんでいる。

「大事なのは魔力制御、そして魔力量を伸ばすということ。魔法は、イメージの具現化だ。荒唐無稽な魔法もイメージが具体的で、相応の魔力があれば、実現する。たいていは詠唱で、魔法を構築し発現させる。イメージが強ければ、詠唱破棄、無詠唱もできる。頭の中で詠唱したりだな。詠唱は複雑な魔法になると長くなる。その間に攻撃されたら魔法自体発動しない。詠唱を終えてもイメージが不十分だったり魔力が足りなかったりするとこれまた発動しない。」

この間、俺は光球を維持していた。


「魔法を構成するのは術者の魔力だ。魔力を燃料にして魔法は発現する。魔法は必ず魔法陣を内包する。詠唱は、この魔法陣を形作る。さっきで言えばわが道を照らせが構成。光球が、発動キーだな。まあ、感覚で発動出来る天才もいるから魔法陣を描くということはあまり重要じゃない。重要じゃないが、魔法の効率化や、武器や魔道具への付与には必要になる。」

俺は左手から魔力を放出し、同じ詠唱をした。同じ”光球”が左手に現れる。だがこれは精霊魔法。精霊眼の副次効果だ。


「さて、新しく作った方は種類の違う魔法だ。まあ、この違いは自分の魔力を使うか、その辺にある魔素を利用するかの差だ。適性が必要で、皆の好きなエルフが得意とする魔法だな。」

俺は光球を維持しながら話を続ける。

「世の中の魔法使いは属性の適性がないとその属性魔法は使えない。多分、皆は2~3属性の適性がある。これは破格だ。この世界の魔法使いで複数の属性を持っていたらそれだけで一流の魔法使いを目指せる。つーことで、それくらい魔法が使えないと勇者の入口にも立てないということだから…実践は、必死になって、自分の属性魔法を究めて欲しい。そこで推奨したいのは魔法制御の練習だ。フレンドリーファイアはいやだろう?」


俺は手をまっすぐ伸ばして”光球”を見せる。

「これを限界時間まで維持する練習をする。この球形が乱れたり不安定になったりするのは制御が甘いということだ。この程度の魔法で大量に魔力がなくなるのも制御が甘い。制御が上手くなるということは魔法の扱いが上手くなることだ。毎日やるように。」

魔法を解除する。魔力をストップすればすぐ消える。タツト君はアンチマジック使ってたけどな。

「今、やってみてくれ。俺が程度をみる。あ、厨二くさいセリフなくてもいけるなら詠唱破棄でいいぞー。」

どっと笑ったのが後半組、

ざわついてるのが前半組。

それでも。ちゃんと実行した。出来ない者はいないようだった。


「坂上君。ほら、光球出して。」

やる気なさそうに頬杖をついている坂上智樹は、俺をちらりと見上げて視線を逸らした。

「うぜえよ。」

あー、俺、2,3年前だったら殴ってるかも。

「へーそう。まあ、いいんだよ。皆が練習してどんどん魔法を使うのが上手くなっていくのに、坂上君だけ、ずーっと同じ状態でレベルの変わらない魔法を使ってるのって、それ、あんまかっこよくないよね?」

あ、ものすごく睨まれた。

でも、光球を出した。

向上心はある。これで出さなかったら喧嘩するところだった。

ほっとして見回すと、制御の上手いのが後半組。余りもたなそうな前半組。

レベルも違うから魔力量も段違いなんだが、この差を埋めるにはかなり難しいかもしれないな。


さてグループ分けだ。

ガッキ―チーム3人と坂上智樹を除く3人。

女子は女子に任せて、サラリーマン2人と一番最後の二人。

俺が坂上智樹と田村さんを受け持つ。ほんとは薬師の子に田村さんつけたいんだけどな。

これでいこう。女子は2チームに分けて活動してもらおう。ガッキ―チームは仕方ないかな。


「休憩挟んで実践訓練だ。訓練所に移動する。」

俺はそう言って、解散にしようとした。

「待ってラビちゃん先輩!アイテムボックスの秘密は!!」

あ、覚えてたのね。

「裏ボスのドロップ品が魔法袋だったんだよ。解析して、魔道具にしました。これな。」

俺は指輪を見せた。これに使われているのは魔法鉱石と竜の魔石のかけら。

一瞬の沈黙のあと、驚きの声が室内を揺らした。


だって、魔法陣解析できたんだよ。作りたくなるだろー。

「あ、真面目に訓練受けた人にはこれあげるから、がんばろーね。」

と指輪を見せびらかした。

ちなみに俺は時空間魔法で収納魔法覚えたから魔道具はいらない。

「俺の分はないのか。」

カディス…

「アーリア様と、グレイナーとカディスの分は用意してあるよ。あとであげるから武術の稽古ちゃんと指導お願いしますよ。」

満足気に頷くカディスに少し不安を覚えた。

「暗器の幅が広がるな…」

物騒なこと言ってる。裏の仕事じゃないの、それ。

次回更新は日曜か月曜日になります。

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