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私の引き篭もり人生論

作者: 白魔

結構話は重めです

救いはないです

一本完結なので箸休め程度に読んで頂けると

幸いです

「ちゆり、ご飯ここに置いとくわね」

扉の外でまたお母さんの声が聞こえてくる

「今日は、ちゆりの好きなハンバークにしてみたわ、どうかしら?」

私はそれに対して答えない

「…また、明日の朝回収しに来るわね、おやすみなさい」

お母さんは階段を降りていったようだ

足音が聞こえなくなったので扉を開け

私はいつものようにご飯を自室に持っていく

「…お母さん、まだ覚えててくれたんだ」

そのハンバーグには人参で顔のようになっている

幼稚園の時に私がなんとなく乗せてみたら

お母さんが気に入ってしまいそれ以来我が家のハンバーグと

言えば人参を乗せた顔みたいなの、となっている

「いただきます」

動画サイトを見ながらまとめサイトを漁る

そしてご飯を頬張る

この光景もいつしか当たり前のようになってしまった

最初の頃は寂しかったが

その感情もいつしか消えてしまった

ただ生きるため、本能だから食事をしているのかもしれない

…どうしてこうなったんだろう…

私はいつからこうなったんだろう

記憶は三年前に遡る

私は中学二年生だった

地元の中学に入学して特に成績的に悪かったことはない

他の人より数学は得意だったが、それ以外は平凡だった

友達も多くはなかったけど少なくはなかった

…そう思っていた

あの日、私は親友が虐められていたのを見てしまった

もう覚えていないけど確か殴られたり恐喝だったと思う

私は止めに入ったけどそれ以来そのターゲットは私になってしまった

最初の頃は私も抵抗していたけどいつしか抵抗するのも億劫になってしまい

親にそれを隠して今日も楽しかった、と言い続ける日々になっていた

友達は気付かなかったみたいで、卑怯な事にあいつらは

私が1人の時を狙っていた

でも、偶然私が虐められている時友達が通りかかった

そこには親友もいた、助けてくれると思った

でも…私を無視して通り過ぎた

「…気持ち悪くなってきた」

喉に絡みつく油と相まって私は吐き気を催してしまう

「トイレ…トイレ行かなきゃ…」

このままでは吐き出してしまうと思い私はトイレに行く

なんでこんな事を思い出したんだろう?

ハンバーグのせいかな?

私が何をしたんだろう?

私は嘔吐しながら、それを問い続けた

答えが出ないのは分かっていても、問い続けた






「ハンバーグか…」

「ええ、懐かしいわね…」

「俺があの時、あいつらをぶっ殺しに行ってれば…」

「お父さん、そんな事言うのは辞めて…私が悪いのよ」

「お前は悪くない、お前はやるべき事を全部やってくれたじゃないか」

「あの日お前は学校に電話をしたけど揉み消された…

俺が…もう少ししっかりしていれば」

「ねえお父さん、私…今日はもう寝たいわ」

「ああ…後は俺がやっておくよ、また明日な…」

「おやすみなさい、お父さん…」

嘔吐物の匂いで目が覚める

最悪の寝覚めだ

今に始まったことではないが何度体験しても

これだけは慣れなかった

流してトイレを出る

「ご飯…結構残っちゃった」

少ししか食べられなかった

お母さんに申し訳ない

そう思っていても私は食べる気になれず

それをいつもの場所に戻した

「…」

特にやる事もなく

私はいつもみたいに動画を再生する

この動画を再生するのは何度目だろうか

今日みたいに気分が乗らない時は

この動画を再生する

内容は面白くないけど、見ていると子供時代に戻れて

気が幾分か楽になれる

「ちゆり、起きてるかしら?」

私は返事をしない

「寝てるのね…ご飯美味しかった?

うん…分かったわ、ここに置いとくわね」

また母は階段を降りていく

足音が聞こえなくなってから私は

外に置かれた食事を取る

「朝は…全部食べなきゃ…」

パンとコーンスープが置かれていた

昨日も殆ど食べれなかったし

動画を見ながら私はパンを食べる

一心不乱に食べ続ける

動画も気にせず、ただ食べる

「ごちそうさまでした」

気付けば無くなっていた

それ程お腹が空いていたのだろう

まだ妙に空腹感を覚えた私は

ガムを噛みながら、空腹を紛らわせることにした

「動画も飽きたしゲームやろ」

動画を止めて普段やっているネットゲームにログインする



「tiyurin1010がログインしました」

「ちゆりちゃんおはよ!今日は早起きだね」

「おはようございます!皆に会いたくて早くログインしちゃいました!」

ネットゲームの中の私は高校生活が忙しくて

ちょっとオタクが入っているJKだ

無論、全然忙しくなくちょっとどころではないが

それでもここは私みたいなのが一杯いて、私の気が晴れる

それに…ここは私に優しいのだ

「ちゆりちゃん、なんか困ってること無い?」

「回復薬の素材切らしてて…頂けますか?」

「余ってるからあげるよ、どうぞ」

「ありがとうございます!いつも優しくて助かっちゃいます!」

私が困っていると言えば手を差し伸べてくれる

私が行こうと言えばモンスターと戦いに行く

このグループの大半はこうだ

このゲームで女が珍しいからか私に寄ってくる

最初は気持ち悪かったが今はそうでもない

むしろ、私みたいな人間でも必要にしてくれる

そう思うと、私は彼等と積極的に関わり始めた

まあ、これに対して良い顔をしないユーザーもいるだろうが

私達のグループが上に立ち始めてからは

そのような事を言いに来る人間も少なくなってきた

さて、今日は何をしようか…

「ちゆりちゃん、メール良いかな?」

「大丈夫ですよ!」

メール…と言っても日常会話ではなく

○○をあげる代わりにエロい画像を送ってくれ、という内容だ

最初は気持ち悪かったけど、ただ一枚送るだけで

武器が貰える…しかも結構なレア武器を

私はこれを売る事で小遣い稼ぎをしている

勿論RMTなんて禁止だが、上手くルールをかいくぐって

今まで回避してきた

これからも回避するつもりだ

さて…今日は何を催促されるのだろうか

胸だろうか尻だろうか

それとも動画だろうか

思えば今月のお小遣いも少なくなってきた

少々対価を高くしてみても大丈夫だろうか?

「あの、武器三本良いですか?動画送ります><」

「おお…でももうひと押し欲しいなぁ、お願い!」

「うーん…じゃあ写真一枚着けます!」

「よし!じゃあ送ってくれ、こっちも送る準備するよ」

安い商売だ

私みたいな体でも必要としてくれるという

ただそれだけが嬉しかった

さて…この武器は幾らで売ろうかな

結構高くしてみても大丈夫かな

ふふ、楽しみだよ


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